獣医師評論【コラム】
井田竜馬行政書士事務所
井田 竜馬先生
1998年に事務所を設立して以来、全国に先駆けて動物法務専門事務所として活動をしており、今までに500件以上のご相談を頂いています。防ぎようのない事故やトラブルもありますが、飼い主さんが日頃のしつけ等をきちんと行っていれば防げたかもしれない、と思うケースも中にはあります。そのような思いから「人と動物の共生」をテーマに、獣医師や動物看護師、 ドッグトレーナー等と連携しながら「予防」にも力を入れています。 様々な動物関連団体のセミナー講師や専門学校の非常勤講師の他、「犬吉猫吉」「ペットショップジャーナル」等でも連載を担当しています。
ペットに関する法律
みなさんはかわいい「わが子」との関係は良好ですか?
人とペットとの関係は、社会を取り巻く様々な状況の変化・複雑化などの理由により、徐々に変化してきており、しつけを一つ取っても、一昔前なら「常識」とされてきたことも今は非主流であったりします。ただ、どういった方法がベストなのかは一概に言えませんが、少なくともペットが一生幸せに元気に暮らしていけるかどうかは飼い主さんにかかっていることは確かでしょうし、近所からも愛されるような存在のペットでありたいものです。
マナーやしつけについていい加減な人が増えてくると、動物が苦手な人には「だから犬や猫は・・・」といったペットそのものに対する更なる悪感情を持たれてしまう事にもなりかねませんので、本当に人と動物が共生できる社会を実現していこうと思えば、決して一人の問題だけでは無いとも言えます。
ペットに対するマナー、ルールは本来あくまでも常識的なものであり、強制される類のものではないのかもしれませんが、「動物の愛護及び管理に関する法律(通称:動物愛護法)」というペットに関する法律の中でも、「飼い主の責務」(第7条)という項目があり、守っていくようにとされています。
内容としては大きく分けて、4つ規定されています。
1. 飼い主は、動物が命ある物であることを自覚して、個々の習性などを理解して飼育し、動物の健康と安全を保つようにすること。
2. 動物が他人に対して怪我をさせたり財産に損害を加えないようにきちんと管理を行い、そして周囲に対しても迷惑を及ぼさないようにすること。
3. 飼い主は、その動物が原因となって発生する感染症について正しい知識を持ち、予防にも努めること。
4. 飼い主は、その動物の飼い主が自分であることを明確にする方法を取るように努めること。
1. 2については、基本中の基本の事柄です。
3は、SARSや鳥インフルエンザをはじめとする様々な人畜共通感染症(ズーノーシス)が発生し、社会的にも関心が高まっています。どんなかわいいペットであっても、人とは違う種だということは
頭の片隅に置いておき、衛生面などにも注意を払う必要があります。
4については、動物の盗難や迷子、事故防止にも必要なことだと思います。保健所に収容された犬や猫の中には、明らかにどこかに飼い主がいると思われる子も少なくありません。しかし、首輪や鑑札、マイクロチップなど動物の身元が判別できるような物がなければ、返したくても返せないのが現状です。そのような悲劇を避けるためにも、そして安易な動物の遺棄などを防ぐ意味でも自分が飼い主であることを明示することは大切なことといえます。
ご覧頂いたらわかりますように、毎日行うのが難しいような高度なものを求められているわけでなく、大多数の飼い主さんなら日々当たり前にしていることばかりです。
ただ、わざわざこういった事が規定されるのは、裏を返せばできていない人がまだまだ多いからなのかもしれませんが、きちんと行って、人にも動物に優しい社会にしていきたいものです。
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