獣医師評論【コラム】
北森ペット病院
北森 隆士先生
収入の5〜10%を、動物を大切にするための啓蒙活動、獣医学の進歩のための研究、最新医療機器の購入、野生動物保護活動にそれぞれ割り当てるような経営を目標にしています。研究は、数年ごとにテーマを決めて行っていますが、現在は、イヌの混合ワクチンの有効性(効果)についてデータを集めています。
セカンドオピニオンについて誤解していませんか?
セカンドオピニオンの趣旨について、飼い主さんは少々誤解なさっているのでは?と思う時があります。例えば、「●●動物病院で治らないからここに来ました」というのはセカンドオピニオンではなく転院と言いますし(こんなもの別に新しいものではなく、昔っからやってますよね)、「●●先生には内緒でここに来ています」というのもセカンドでもなんでもありません。
セカンドオピニオン…米国の医療では日常になっているこの制度、本来は、医療知識の無い患者が、インフォーム(説明)を受けても決断できなかったり、また別の治療法がないのかを知る手段として発達したものです。一般的には、主治医(もしくは担当医)以外の専門医の意見を聞くための制度と理解されています。当然、セカンドと言うぐらいですから、ファーストオピニオンあってのセカンドで、この制度の趣旨から言えば、セカンドをした医師はファーストオピニオンを尊重しなくてはいけませんし、オピニオンした両者間に(思考の)連携がなければ言いっぱなしのむなしい時間が過ぎ行くばかりでしょう。
しかし、上記のように、どうやら一部の飼い主に、このセカンドオピニオンが誤解されているようです。
誤解だけならまだいいのですが、セカンドオピニオンが流行り言葉?になったおかげで、これまた昔からある『紹介』・・・・・更に高度な医療施設への紹介など・・・動物医療は専門医制度がないので時としてこれがセカンドとなりますが・・・制度が時として、うまく機能しなくなっているような気がします。このサイトでもよくありますよね? ネットで探して専門医を見つけたとか…、友人に聞いて専門医を探したとか…。なんのための主治医制度か、むなしくなる時があります。
しっかりとした診察をする先生ならば、自分の限界を超えたあるいは別の角度からの治療法が考えられる場合、他の専門医や高度医療を提供できる施設へ責任をもってセカンド〜もしくは紹介してくれるでしょう。そして、セカンドの方が有益だと判断される場合は、(ファーストである)主治医も飼い主といっしょになってセカンドの治療を見守ってくれると思います。
セカンドオピニオン(や紹介)と転院、混同してはいけません。セカンドオピニオンは、動物病院に対する不信感の上に成り立つものではなく、もっと有益な制度なのですから
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