獣医師評論【コラム】
井田竜馬行政書士事務所
井田 竜馬先生
1998年に事務所を設立して以来、全国に先駆けて動物法務専門事務所として活動をしており、今までに500件以上のご相談を頂いています。防ぎようのない事故やトラブルもありますが、飼い主さんが日頃のしつけ等をきちんと行っていれば防げたかもしれない、と思うケースも中にはあります。そのような思いから「人と動物の共生」をテーマに、獣医師や動物看護師、 ドッグトレーナー等と連携しながら「予防」にも力を入れています。 様々な動物関連団体のセミナー講師や専門学校の非常勤講師の他、「犬吉猫吉」「ペットショップジャーナル」等でも連載を担当しています。
ペットに関する法律
ペットに関する法律は1973年(昭48)の「動物の保護及び管理に関する法律」(動管法)の制定が最初で、その後、1999年(平11)にそれを全面的に改正する内容の「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護法)が成立し、2000年(平12)から施行されました。
しかし、施行から5年が経ち、その間に様々な社会の変化などもあることから、更にそれを改正する形で2005年6月に改正動物愛護法が成立、公布されました。この改正法の施行は翌2006年6月の予定ですので、それまでは現行の動物愛護法が使わることになります。
改正法の概要は決まったものの、詳細についてはまだ未定のところもありますが、改正の大きなポイントをいくつかご紹介します。
1. 動物取扱業が届出制から登録制へ
今までは悪質なショップなどがあっても、法律に根拠が無かったので指導・勧告しかできませんでしたが、施行後は営業停止や登録更新の拒否など厳しい措置が課すことができるようになります。 新たに加わる業種としてはネット専門のショップ、乗馬クラブのような動物ふれあい施設、ペットシッター、ペット美容室、出張型ドックトレーナーなどがあります。
2. 動物取扱責任者の設置
一部の自治体では条例により設置が義務付けられていましたが、今後は全国一律に一店舗に一人は置かなければならないことになります。
3. 動物虐待・遺棄に対する罰金の引き上げ(30万以下から50万以下へ)
殺傷については懲役1年以内又は罰金100万以下のままですが、水や餌を与えないといった衰弱させるような虐待や遺棄に対しては罰金額が引き上げられます。
4. 危険動物の個体識別を義務化
危険動物として指定されたヘビやカメ、サル、クマ等々を飼育する際は個体管理や逸走の際に飼い主が特定できるようマイクロチップなどで個体識別をするよう義務付けられます。
その他、一般飼い主やペットショップなどの形態を問わず、動物を所有などをする者の責務としては下記のような事柄があげられています。これは現行法でも改正法でもほぼ同様の内容です。
1)飼い主の責任を自覚し、種類や習性等に応じて適正に飼養し動物の健康を守ること
2)動物が人の生命や財産に危害や迷惑をかけないように配慮すること
3)人畜共通感染症(ズーノーシス、動物由来感染症とも言う)についても正しい知識を持ち、予防のために必要な注意を払うこと
4)自分が飼い主(所有者)であることを首輪やその他の方法で明確にすることやその他の方法で明確にすること。
今回の法改正により、動物を取り扱う企業やお店は当然として、飼い主に対してもその責任の所在をより明確にしようという狙いがあります。空前のペットブームを背景として、動物に関わるトラブルが飛躍的に増加している事を考えると、私たち一人一人の意識と知識の向上が急がれます。
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