だいじょうぶ?マイペット

獣医師評論【コラム】

北森 隆士先生

北森ペット病院

北森 隆士先生

収入の5〜10%を、動物を大切にするための啓蒙活動、獣医学の進歩のための研究、最新医療機器の購入、野生動物保護活動にそれぞれ割り当てるような経営を目標にしています。研究は、数年ごとにテーマを決めて行っていますが、現在は、イヌの混合ワクチンの有効性(効果)についてデータを集めています。

インフォームドコンセントって、簡単なもの?

『このお薬を飲まないと、この病気は治りませんよ』

と獣医に言われて、そのお薬を飲んだのに病気が治らなかったとします。
この獣医は嘘をついたと思いますか?

私は、思いません。

もしその先生が『このお薬を飲めば、この病気は治る』と言っていた場合は、そのお薬を飲んで病気が治らなければ、嘘をついたことになるでしょう。しかし、『このお薬を飲まないと、この病気は治りませんよ』の場合は、薬を飲んだ時点で命題は成立しなくなるので、嘘にはならないと思います。この表現が嘘になるのは、お薬を飲まないのに、その病気が治った場合でしょう。

もう少し分かり易い例におきかえましょう。

『宝くじは買わないと、1億円あたらない』と言われて、買ったのにあたらなかったからといって、あなた、おこらないでしょ?

どうですか?

そんなこと言っても、『このお薬を飲まないと、この病気は治りませんよ』と『このお薬を飲めば、この病気は治ります』という文章をイコールと捉えることだってある……という声が聞こえてきそうです。

当然だと思います。おそらく、受ける方の文の【病気】の重傷度や悪性度によって、人々は頭の中で、イコールか、宝くじの文章のようにイコールではないのか、自ら判断するのだと思います。

自ら判断する……そうなのです……言葉遊びのような話だったかもしれませんが、インフォームドコンセントって、する側の論理と、される側(飼い主側)の論理がかみ合わないと、大きな誤解を生むことだってあるのです。

『あの病院は、インフォームドコンセントがしっかりしていて、いい病院だ』な〜んて言い方を良く聞きますが、私は、このような言い方は好きではありません。なぜなら、そこには飼い主側の論理が欠如しているからです。

あなたが、もし、インフォームドコンセントを『獣医師が、飼い主に対して、ペットの病態や検査および治療に関して十分説明をすること』だと思っているとすれば、あなたは、インフォームドコンセントを少々誤って解釈しています。

インフォームドコンセントは、1980年代に、米国大統領委員会の肝いりで、患者の(当然この場合は当然ヒトですが)知る権利の保護のために医療界に導入された概念ですが、その目的は『患者自身がより質の高い治療をより主体的に選択でき、また、医師・患者間の信頼関係をより深めること』としています。今は、なんだか、インフォームドコンセント=獣医師の説明責任のような風潮になってますが……。

あなた方の論理と我々の論理をかみ合わせる作業、そして治療に対して主体性を持ち得る出発点がインフォームドコンセントです。お忘れなく。

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