だいじょうぶ?マイペット

獣医師評論【コラム】

北森 隆士先生

北森ペット病院

北森 隆士先生

収入の5〜10%を、動物を大切にするための啓蒙活動、獣医学の進歩のための研究、最新医療機器の購入、野生動物保護活動にそれぞれ割り当てるような経営を目標にしています。研究は、数年ごとにテーマを決めて行っていますが、現在は、イヌの混合ワクチンの有効性(効果)についてデータを集めています。

ヒトの健康とペットたち

もしも世の中から、イヌやネコやウサギやハムスターがいなくなると、どうなると思いますか? ペット好き、ペット嫌い、イヌ好きでネコ嫌い、ネコ好きのイヌ嫌い…、様々な方々から色々な意見が聞けそうですが……、はっきりしている事は、上記のような動物…いわゆるペットの範疇に入る動物…がいなくなると、我々ヒトは健康的な生活が維持できなくなります。

それは、我々ヒトが受ける医療は、ほとんどがそのような動物達を用いた動物実験によって成り立っているからです。

ヒトの医薬品は、例えば、高血圧の薬はラットで研究され、心不全・不整脈の薬はイヌやハムスターで、ガンの薬はマウスで、狭心症や動脈硬化の薬はウサギで、インフルエンザや嘔吐の薬はフェレットで、精神・神経科の薬はネコやマウスで…それぞれ実験され、研究開発されます。ヒトの病気(病気発生のメカニズム)は、つまるところ、それら動物を用いた実験によって理解されていくという過程を多くはとっています。

時代の先端を担う高度医療技術も、ペットと言われる範疇の動物達を用いてその技術が研鑽されていきます。人工透析は1900年代初頭にイヌでその方法論がはじめて確立されましたし、現在の臓器移植技術も、イヌなどを用いた実験で技術が進歩しています。未来の医療技術と言われる臓器再生医療も、例えばヒトの心筋梗塞や神経損傷治療分野での応用が期待されていますが、イヌやラットを用い、日々研究されています。

残念ながら、現代人は、医療の支えなく、人生を人並みに生きぬくことは出来きませんね? そうなのです、ペットが好きであろうがなかろうが、動物の飼育経験があろうがなかろうが、我々ヒトは、ペット(と言われる種類の動物達)の恩恵を上記のような形で日々受けているのです。

あなた方のペット達は、彼らにとっても最も幸せな形であなたに(流行りの言葉で言えば癒しと言う意味で)貢献しているはずです。しかし、別の形で日々我々の社会に貢献している子達も沢山いることもぜひ覚えておいて下さい。我々も実は彼らに生かされているということを知っておいて下さい。

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