伊東 彰仁 先生からの回答
膿皮症で、抗生物質が効かない場合、考えられることは2つです。ひとつは、現在使っている抗生物質に耐性がある場合で、これは培養と感受性テストで判断できます。もうひとつは、基礎疾患がある場合です。ベースに別の皮膚病が存在し、その皮膚バリヤが消失したところに感染が起きて、膿皮症化したものです。この場合は、その疾患を判別しなければ、一旦開放に向かっても、完治はせず、抗生剤を止めればまた悪化することになります。
ここからはよく書いていますが、皮膚病の検査は、病院により異なっていると思いますが、うちでは次のようなスケジュールで行っています。
1:皮膚セロテープ染色
2:抜毛検査
3:皮膚掻爬検査
4:真菌培養(真菌、酵母の同定まで)
5:特異的IgE抗体検出による、アレルギー検査(各項目)
6:血液性化学検査(項目ごと)
7:血液塗抹染色(血球像、百分比)
8:ホルモン検査(各項目)
9:パンチバイオプシー
現在のところ、1~4まではルーチンで行っている検査で、必要に応じて5以降の検査をしています。
しかし、以降の治療や誤診を防ぐためにも、5~7はルーチン化しようと考えています。
皮膚病は、獣医師でも見た目診断は避けるべきです。
むしろ経験上分かったという場合は、改めて検査をして裏づけを取るべきです。
2006/12/11 19:11 参考になった! 0
今道 昭一 先生からの回答
膿皮症が再発するときの治療の原則は、
"今ある膿皮症を完治させ、その後に膿皮症を起こさせる基礎疾患を検索する"
なかなか治らない膿皮症は完治するまで効果のある抗生物質を続けることが重要です。
時には数ヶ月かかることもありますが、ブドウ球菌による膿皮症であれば、皮膚疾患で頻繁に使用される抗生物質に耐性ができることはそれほど多くありません。
効果が得られない理由として多いのは、抗生物質の投与期間が短い、投与量が少ない、抗生物質の選択が不適などです。
まずはこの点をしっかりと評価してもらいましょう。
一旦膿皮症が完治したら、引き続き基礎疾患を評価しなければいけません。
外部寄生虫、皮膚糸状菌症、アレルギー性疾患、脂漏症などが主な基礎疾患です。
この基礎疾患を見つけて、それを治療することで再発を予防することができるかもしれません。
特に夏にひどくなるという既往歴があるなら、ノミアレルギーやアトピー性皮膚炎について評価しましょう。
また、コラムで"再発する皮膚炎"について記載しています。参考までにこちらも読んでみて下さい。
2006/12/11 23:45 参考になった! 0
膿被症と診断されて
お世話になります。
小さい頃より、身体からフケのようなものがポロポロとしていましたが、それ程気にせず、市販のシャンプーを月に一度ほどしていました。
年が経つにつれ、フケが目立ってきたので、病院で診察したところ(2歳前の頃が初診)、通常皮膚にいる細菌に対して弱く(ブドウ球菌等々)赤くなり、治りかけるとカサブタになりフケのようになると言われました。
夏場に目立つようになったので、夏場だけ病院で診察し飲み薬(抗生物質)をもらっていました。
ところが、最近(5歳)は年中フケが目立つようになり、通院しています。
病名はノウヒショウとの事。抗生物質が効かなくなり、今は10日に1回の診察で抗生物質を変えていってます。週に1度のシャンプーも病院でもらってます。また、食事療法も取り入れるつもりです。
この病気は完治することがあるのでしょうか?薬を切らすと、すぐに症状はひどくなります。一生薬を飲ませなければならないのでしょうか?
薬は身体に負担になると思っています。愛犬が痒い症状だけで済むならば、食事療法だけにして、薬漬けから開放してやるのが、身体の為になるのではないか?一人で悶々と考えてしまいます。
また、環境が変わったりすると、症状は悪化するのでしょうか?
この先、2~3ヶ月実家に預けなければならなくなるかも知れない事情があるのですが・・・。
どうか、アドバイスくださいませ。