北森 隆士 先生からの回答
私は、毎年数十例のイヌのワクチン接種後の
抗体価を測定しています(抗体価が免疫の全てではありませんが、現状この抗体価が、ワクチンの持続性の指標には最も重要と考えられています)。
まず、あなたに言いたい事は、
1歳以降の通年接種の問題と、初年度の3回接種の必要性
の問題は、まったく考えのポイントが違うということです。
初年度の接種に関しては、先生の指示に従い3回接種しましょう。
勝手に2回にしたおかげで、パルボの抗体価がまったく
上昇していない子・・・・これは母体からの移行免疫が強すぎて
2回ではワクチンの効果が得られないことによります・・・・が僅かですがいますよ。詳しい事は、担当の先生にお聞き下さい。
1歳以降の通年接種に関してですが、
確かに、ワクチンのある部分については数年持続している
ものもありますが、例えばジステンパーの部分やパラインフルエンザの部分は、持続は非常に短いです。
また、最近ヨーロッパで公開されたデータでは、毎年ワクチンを
接種しても、一部の個体では抗体価が十分得られてはいません。
少なくとも私の国内のデータでは、米国のデータは、抗体価という側面からは、まったく信用できません。あなたが、抗体価検査を実施しないのであれば、ワクチンをあるていど生涯にわたって接種すべきです。
また、パルボやジステンパーの抗体価が上昇しずらい
個体が数%~十数%いるため、もしこの個体が数年に1度
しか接種しなければ、おそらく、かなり危険な状況になります。
あなたのイヌがこのグループに属しているかもしれません。
米国と日本では、ワクチンの種類や、環境中のウイルスの状況、イヌの遺伝的背景も異なります。今いえることは、初年度は3回接種は絶対に必要だということと、もしその後ワクチン接種が嫌であれば、ちゃんと抗体価を測定して、あなたのイヌの免疫獲得状況がどのようになっているのか調べることです。
私も、非科学的な治療行為は嫌いです。今後、もしかしたら
国内でも数年に1回の接種で良いというデータがでるやもしれませんが、現状は国内で3年に1回でよいという科学的根拠もまったくありませんし、そうであるならば、メーカーのデータや、私自身のデータも考慮すると、(抗体価の状況を調べないのであれば)、通年接種が望ましいのではないかと思います。
2007/04/02 10:23 参考になった! 0
投稿者 ひげパパ さん からの返答
北森先生、早速のご回答ありがとうございました。
大変参考になりました。
2007/04/09 10:23
ワクチンについて
犬を飼育するのは、30年振りです。初心者ですので、
いろいろご教示下さい。
ワクチンについての質問です。是非ご意見をお伺いしたいと思います。
先日、ワクチンについてネットで調べていましたところ、
「アメリカ動物病院協会は2003年に、年1回のワクチン接種について
科学的根拠がなく、免疫系の混乱を招くことを指摘。ジステンバーやバルボなどのコアワクチンは3年に1回の摂取でよい」という勧告を発表したという記事(福岡県、エンゼルペットクリニックのホームページより)を
読みました。
うちの犬はペットショップから来た子ですが、2回のワクチンが済んでおり
(生後6週目と12週目、5種混合)4/5に3回目を接種するよう指導されております。はじめてのワクチンも2回で良いという記事や3回という記事など様々あり、この3回目のワクチン接種も必要なのかどうか分からなくなっております。またその後の3年に1回のワクチン接種について、先生方はどのようなご意見をお持ちでしょうか?
人間の子供のワクチンですら改良され、接種の回数なども変わってきています。犬の体への負担を考えると、ワクチンを接種せずに1年に1回の健康診断などで済むのであれば、それがベストでは?と考えています。
先生方の医学的、科学的見解からご意見が伺えればと思っています。
よろしくお願いします。