井上 平太 先生からの回答
ご心痛お察し申し上げます。
この病気は今から20年前、まだACE阻害薬が処方されていなかった頃は発症してから1年コントロールすることは至難の業でした。しかし、治療法はこの間に格段の進歩を遂げ、かなり長期間症状を抑えることができるようになりました。
しかし、すでに肺水腫を起こし咳が続くようになってから治療を始めた場合には夏を乗り越えることが難しい場合がございます。心からご冥福をお祈り申し上げます。
この病気の進行速度は個々にかなり違いがございます。僧帽弁の牽索が切れて突然に発症することもあれば、数年かけて経年変化によりゆっくりと進行することもございます。歯周囲病で口腔内に菌の繁殖が進んでいる場合に進行が早いようです。聴診・レントゲン・超音波・心電図・血液検査(NT-PROBNPなど)・・・などその獣医師の得意とする検査方法でかなり早期発見ができるのですが、どちらかと言うと全く症状が出ていないと治療に関して飼い主の方の同意が得られなくて我々が困惑することも多いものです。しかし、先ほど申し上げましたように突然に進行が早まる事もございますので、検査の目をくぐりぬけてしまったのかもしれません。
早期からACE阻害薬を使いますと発症をかなり遅らせることが出来るようですが、発症した動物は治療をしても徐々に進行いたします。あとはその時その時の具合に合わせて、薬の種類や量を調合していきます。対症療法の薬はかなり多数ございます。
この病気は遺伝性ですので今後犬を飼う場合に好発犬種を飼わないのも一つの方法です。
次にデンタルケアをしっかり行い、歯と歯茎を健康に保つ事です。
好発犬種をお飼いの場合には、6歳ころからは月一回は聴診を行い、少しでも雑音が認められる場合にはさらなる検査をしていくと良いでしょう。ペットが中年期を迎えたら、まずは主治医の先生にご自身のスタンスをしっかりと伝えることです。我々はいつも動物の状態を心配しながらも、飼い主の方に過剰検査と言われないように考慮しながら診療をしております。
この病気に関しては、まだまだお話ししなければいけないことがたくさんございます。しかし文章だけですと、かなり伝える事が難しいものです。たとえ動物が亡くなってからでも、判らないことがあれば治療を受けた先生に時間をとって頂き説明を求めるとよいでしょう。これは飼い主の方の権利だと思います。
2009/09/08 01:01 参考になった! 4
投稿者 さん からの返答
ご回答ありがとうございます。飼主の無知のせいで適切な検査をしてあげらなかったことを本当に悔やんでいます。今後犬を飼う際は十分に気をつけてやしたいと思います。
2009/09/15 01:01
僧帽弁閉鎖不全症について
先月、愛犬が9歳半で亡くなりました。今後の為この病気について教えてください。最初に異変は去年の9月終わり頃、軽い咳をしていました。病院での診断は僧帽弁閉鎖不全症と診断され、薬を処方されました。咳は止まらなかったので3~4日後に診てもらいレントゲンを撮ったら、先生がびっくりされていました。末期との診断です。心臓が卵zしていたよりずっと肥大していました。その後、半年間は薬が効き、咳一もせず、とても病気とは思えないほど元気でした。が、3月から又咳がではじめ、先生にもよく診ていただきましたがその甲斐もなくなくなりました。前置きが長くなりましたが、はじめて咳をした時まで一切その病気の前兆がなかったこと。それ以前にも他の病院で心音は聞いてもらっていましたが(診ていただいた先生にはこの子は心音は悪くないといわれました)心音だけでは分からないのでしょうか。末期まで心臓が肥大するまでどれほどの期間があったのでしょうか。(3~5年は経っているとか)。今後犬を飼うつもりですが、何歳位からどのような検査が必要でしょうか。ご回答、宜しくお願い致します。