久山 昌之 先生からの回答
膀胱原発の腫瘍なのでしょうか。尿道を囲むようにして腫瘍が存在する場合、選択肢は限られています。問題は、そのままでいると排尿が不可能になってしまう事、痛みが激しい事、腎不全の併発が考えられることです。
手術で、膀胱と尿道を摘出する方法があります。腎臓からの尿管は、直腸や腹壁、膣に移植し開口します。難しい手術ですが、出来ないことはありません。ただし、腫瘍は完全摘出することは不可能で、症状を楽にする事、その結果寿命が延びることがメリットになります。デメリットは、排尿の問題、腎不全です。
手術のもうひとつの方法は、腫瘍を摘出することはせずに、膀胱を腹壁に開口し、排尿路のみを確保することです。排尿が出来なければ、ラビちゃんが元気でも、他の内臓がじょうぶでも生きていけませんから、その部分を確保する方法です。
手術を行なわない場合、効果の期待できる抗がん剤や消炎鎮痛剤による治療が選択肢として残されます。
抗がん剤に投与により、よほどのことがない限り、いきなり死ぬことはありません。十分体調を管理しながら、QOLを上昇させることを目標に、診てあげる事が重要です。
現状で手術などの選択肢が記載されていなかったため、そのような説明がなったものとして一つの提案をしました。が、僕の診療している患者さんではないため、僕の勧める治療については判断できません。
お話では、以前にも膀胱炎の既往があるようで、その際に腫瘍との鑑別診断を行なわれているかどうかも不明です。実際に腫瘍であっても症状は膀胱炎と同様で、初期は膀胱炎に対する治療にも反応してしまうため、見落とされているケースが多いです。そのため、単なる血尿などでも初期の診断に必ず腫瘍という選択肢は入れておかなければいけないのです。また、再発を繰り返す場合、以前が膀胱炎と診断されていようとも、必ずこの鑑別は毎回行なわなければいけません。とすると、実は腫瘍の経過はもっと長いのかもしれません。
現状では、どの程度の検査を受けて今の診断が下されているか、病状の進行がどのくらいか、腫瘍は何か、体調はどうか、僕には分かりませんので判断は難しいです。が、もし尿道にすでに腫瘍が浸潤しているようであれば、根治的な手術、いわゆる全摘出手術はお勧めできません。僕も、この手術は何例か行なっていますが、結果非常に楽になり、寿命が延びた症例も多いのですが、全く意味がなかった、ないしは後の排尿の管理が大変だった、腎不全が悪化した、という例もあります。手術を考える際は、しっかりとした獣医師と、現状をはっきりと把握し、まず相談してから決めるべきです。
出来れば、超音波検査を細かく診るか、造影検査を行なうことは最低限の検査だと思います。その上で、最終的な判断をするべきと考えますが、今だけの情報では、症状の緩和を期待する手術か、手術をしない方法をおすすめします。
2006/01/17 21:29 参考になった! 0
投稿者 さん からの返答
早速ありがとうございます。よく考えつつ、あまり遠くない所で手術してくださる先生を探してみます。無理なら、今の所で検査しつつ抗がん剤治療を続けていきます。選択肢が増えたのでうれしいです。
2006/01/24 09:29
腫瘍の治療について
昨年11月4日股の辺りを舐め始め、又膀胱炎か?と様子を見ていましたが、7日にはずる剥けになり、病院へ、腫瘍でしかも拡大するのが早いので、病理検査をし、結果は「悪性間葉系腫瘍疑い」で「塗抹標本上には、類円形~卵円形、核膜不整、大小不同を示す楕円形~紡錘形異型細胞が多数認められる。核は時折豊富な細胞質の辺緑に位置する傾向がみられ、核分裂像も容易に観察される。2核細胞やそれ以上の多核細胞の出現もしばしば観察される」とこの後に確定診断の為に組織標本での検査を薦めているようですが、特にしていないと思います。
この結果を聞いた際、いつもの先生のくせなのですが、抗がん剤治療中に2~3日で死んでしまうかも、との事だったので辞めておいたのですが、家では2~3日元気がなかっただけで、その後元気過ぎて困るほどで、カラーを付けていても幹部を削いでいつも血が滲んでいる状態でした。遂に12月5日患部が大きくなり今からでも治療できるなら、と入院させ、一番弱い抗がん剤と、10日後にはその次に弱い薬(名前は不明です)22日に退院するまで2種類使い、今は週一回、血液検査の上で投与しています。少し貧血気味だそうです。この次のは一番強いのを投与しないと効かなくなるそうですが、その際、FIVの発症等考えられるので薦められないし、手術ははなから尿道を囲むように腫瘍があるのでできないとのことです。今、腫瘍の成長が止まっているうちになにか方法がないかと相談差しあげました。肩の所に柔らかいしこりが出来、転移かと心配です。