北森 隆士 先生からの回答
3つのお話をしたいと思います。
①回虫は、幼ネコ期に感染した場合は、ネコの体内をまわって、多くが腸に最終的に寄生します。しかしネコが成長するにつれて、回虫は腸ではなく、体内で最終的にとどまることが多くなります(腸には行かない)。1歳を過ぎると、腸にいく虫(成虫)は10%ていどで、その他は体内に幼虫の形で寄生していると思います。
②一般的に飲むお薬は、腸にとどまり、体内には入りません。腸の虫(成虫)のみに効きます。幼ネコ期に定期駆虫することによって、腸に戻ってくる成虫をほとんど退治できるとは思いますが、ネコが成長期後に感染したような場合、虫は体内に幼虫の形でとどまっているわけですから、飲み薬では完全駆虫はできません。
最近、バイエルというメーカーから、プロフェンダーという体表につける駆虫薬が発売されました。このお薬は、飲み薬と違って、体内に入りますので、体内を移行している幼虫にも効きます。しかし体内の虫の形態は、血中移行型と筋肉内型にわかれ、筋肉型方にはこの薬も効きません。
①で書いたように、成長後の感染の場合も、10%程度は筋肉から血中に幼虫が出て、最終的に腸に移行しますから、この体表につけるお薬ならば、飲み薬よりは、より効果があると思います。
③体内にとどまっているものは、基本的には、人間になにも感染性を示しません。また、おそらく多くの臨床獣医師は、回虫の人間への感染をそれほど意識していません。もし、ネコの回虫の人間への感染が重篤ならば、私達獣医師自身が、診察の際など、もう少し恐怖感があってしかるべきで、しかし実態としてそのようなことは無いわけですから、つまり、あまり気にしなくて良いのではないかとも思います。科学的な事実と、実態とは、また違うものなのです。
世界で最も感染症について権威のある、米国のCDCという研究所は
回虫による人間への影響を極力少なくする為に、定期駆虫を勧めています。もしご心配ならば、ネコさんが成長後も、上記の体表につけるお薬での定期駆虫をお勧めします。年4回以上が推奨されていると思います。
2007/11/13 09:34 参考になった! 0
投稿者 さん からの返答
丁寧な説明をありがとうございました。
風邪で寝込んでおりまして お礼のメールが遅くなったてしまいまして、失礼をいたしました。定期駆虫をしたいと思います。
2007/11/20 09:34
回虫の根絶
保護した猫に回虫が発見され、回虫のことを調べれば調べるほど怖くなってきて、心配でたまりません。
ネコは保護時4~5週くらいの大きさでしたのでその時に駆虫薬1回投与し
3週間ごとに計3回投与しています。駆虫3回後2週回目の検便では回虫卵はありませんでした。ただネコの病院で駆虫薬は体内を移行中、滞在中(どれくらい長く潜んでいるかもよくわかっていないので)の幼虫には効かないので完全な駆虫(根絶)は実は難しいのですよ、、と言われました。
ネコを触ったら手を洗うということは理解していますが、実際問題完全室内外で家中をうろうろし、ソファの上でくつろいだり、子供(年少児)と遊んだりしています。触ったら手を洗っていたら、一日中手を洗っていなければならないほどです。
回虫の根絶はむずかしいのでしょうか?
駆虫薬は今後も定期的に飲ませた方がよいでしょうか?
もしそうでしたら次はいつ頃がよいですか?