慢性腎不全に与える際の薬について

質問カテゴリ：: その他
対象ペット：: 猫 / マルチーズ / 性別不明 / 年齢不明
質問者：: 山梨県 / まぐろさん
: 2008/02/03 12:02

慢性腎不全の猫に与える薬として、ＡＣＥ阻害剤がありますが、認可されてからの期間が短く、副作用の詳細がわからないのですが、考えられる副作用はありますでしょうか？

このＡＣＥ阻害剤や活性炭を医師が処方する際に、どの程度の検査数値、目に見える自覚症状ならば有益であると考えられて処方するのでしょうか？

ＡＣＥ阻害剤や活性炭を与えた場合と与えなかった場合、延命はどの程度違うのでしょうか？

泰間喜和先生からの回答

あかね動物病院（千葉県）

まぐろちゃんの飼い主さん、こんにちは

ご質問に関してですが、サイト内でフォルテコールに
関する質問に井上先生、橋本先生が
お答えになられているものがございますので
1度目を通していただけるとありがたいです。
現在ではACE阻害薬に対する考え方として
禁忌（薬を与えてはいけないとき）を理解して使用すれば
安全と考えられております。

ACE阻害剤の処方のタイミングに関してですが
獣医師が慢性腎臓病と診断したときが投薬を開始するタイミングだと思います。
これはひとつの検査数値や症状だけで診断されるものでは
なく、総合的な判断に基づきます。詳細なお話しは長くなりますし、主治医の先生から直接お聞きになる方がご理解もしやすいかと思います。生存曲線に関しては無投薬よりも投薬した方が
効果があると思いますが、現在の状況を把握していない私がお話するわけにはいけないと思いますので遠慮させていただきます。

2008/02/03 23:38 参考になった！ 1

投稿者まぐろさんからの返答

ご返答ありがとうございました。
『無投薬よりも投薬した方が効果がある』ということですので、検討してみたいと思います。

2008/02/10 11:38

北森隆士先生からの回答

北森ペット病院（千葉県）

＞ＡＣＥ阻害剤や活性炭を与えた場合と与えなかった場合、
＞延命はどの程度違うのでしょうか

とても難しい問題です。ＡＣＥ阻害剤のＱＲＬの改善効果は数値的に明らかですが（食欲など）、腎生存率に関しては、改善する傾向はありますが科学的な統計的有意差に関しては未だクエスチョンというデータもあります。

ただし、当然、ケースによっては使用したほうが良いとは思います。

おそらく明らかな延命（生存期間の延長）効果が証明されている治療は、食餌療法、透析（点滴）です。

・・・・・・・・・・・・・
下に有名な論文引きますから、先生に教えてもらって
ください

Tolerability and efficacy of benazepril in cats with chronic kidney disease.

King JN, Gunn-Moore DA, Tasker S, Gleadhill A, Strehlau G; Benazepril in Renal Insufficiency in Cats Study Group.

Novartis Animal Health Inc, Postfach, Basel, Switzerland. jonathan.king@novartis.com

The objective of the study was to test the effect of the angiotensin-converting enzyme inhibitor (ACEI) benazepril in cats with chronic kidney disease (CKD). A total of 192 cats with CKD with an initial plasma creatinine concentration > or = 2 mg/dL (> or = 177 micromol/L) and urine specific gravity < or = 1.025 were recruited into a double-blind, parallel-group, prospective, randomized clinical trial. Cats received daily (q24h) PO placebo (n = 96) or benazepril x HCl at a dosage of 0.5-1.0 mg/kg (n = 96) for up to 1,119 days. Most cats were fed exclusively a diet containing low amounts of phosphate, protein, and sodium. Benazepril produced a significant reduction in proteinuria, assessed by the urine protein-to-creatinine ratio (UPC, P = .005). This effect of benazepril was present in all subgroups tested, including cats with UPC <0.2, although the effect was largest in cats with higher UPCs. Plasma protein was maintained at higher concentrations with benazepril as compared with placebo during treatment in cats with initial UPC <1 (P = .038 versus P = .079 for all cats). There was no difference in renal survival time between the 2 groups when all 192 cats were compared. Mean +/- SD renal survival times were 637 +/- 480 days with benazepril and 520 +/- 323 days with placebo (P = .47). Mean +/- SD renal survival times in the 13 cats with initial UPC > or = 1 were 402 +/- 202 days with benazepril and 149 +/- 90 days with placebo (P = .27). Cats with initial UPC > or = 1 treated with benazepril had better appetite (P = .017) as compared with those treated with placebo. Benazepril was well tolerated. In conclusion, benazepril decreased proteinuria in cats with CKD.