井上 平太 先生からの回答
我々は獣医師であって法律家ではございません。ですので、以下に述べることはあくまでも一獣医師としての私見だと思ってください。
臨床に際して常々問題になるのはその病気が明らかに保険加入前に存在していたものかどうかです。
たとえば階段から落ちて骨折をしている場合です。動物病院に診察に行く前に自己申告で異常なしと伝えて保険加入して証書が届くのを待って動物病院で診察を受けたとしましょう。我々は骨折部位を見ればある程度受傷日が推定できます。しかし、あえて飼い主の方が保険加入直後に事故を起こしたといえば数日の誤差はあり得るので飼い主の稟告に従います。ただしこの場合には後日訴えの間違えが発覚すれば飼い主と保険会社の間で何らかの係争が起きるかもしれません。
しかし、今回の腫瘍のケースですと、飼い主は腫瘍を診断することは不可能なわけです。ましては発症日など判るはずがありません。ですので自己申告で健康だと書類を作成した飼い主には何の落ち度もないでしょう。加入日にすでに腫瘍があったとしても、それは保険会社が請け負うべきリスクと考えられるのではないでしょうか。あくまでも獣医師が腫瘍と診断するまでは、それは飼い主にとっても動物にとっても腫瘍では無いのですから。
問題点は自己申告で加入を許可する保険会社にあるのであって、そのリスクがいやであれば保険会社は健康診断料を保険会社負担で加入条件に入れればよいわけです。
そうすれば、加入時に病気とは断言できないまでも消化機能に問題があれば消化器腫瘍に関しては1年間適用以外だとか後躯にまひがあれば椎間板や股関節の手術が1年間適用外だとかをお互いに確認した上で加入すればよいのです。
私の病院でもよく保険会社からこの病気はいつからですかと質問FAXが来ますが、事故ではなく病気の場合には、飼い主の訴えに準ずるかあるいは今日私が診断した時からですと、答えております。もちろん保険会社には、なかなか納得して頂けない事もありますが。
もちろん状況によっては弁護士介入も否めない事もございますでしょうが、毅然とした態度で臨むべきでしょう。
どうぞお大事にしてください。ミルクちゃんの病気が完治することを祈念申し上げます。
2013/01/19 01:16 参考になった! 0
投稿者 SPI さん からの返答
わかりやすいお答えありがとうございます。
保険加入後すぐはこちらのリスクが大きいように思いましたが、先生のお考えを聞いて少し安心しました。今のところ健康ですがこれからも気をつけてあげたいと思います。
ありがとうございました。
2013/01/26 01:16
ペット保険の解釈について
はじめまして。
獣医さんのお考えを聞きたく質問させて頂きます。
ペット保険に加入を考えているのですが、
病気の発症日について教えてください。
保険会社の発症日とは
疾病については、獣医師法(昭和24年法律第186号)に定める
獣医師が診断した発症の時をいいます。
と書かれているのですが、どのように解釈していいかわかりません。
もし腫瘍などが見つかった場合
獣医さんがこれは腫瘍であると認めた日が発症日なのか、
腫瘍の大きさから発症日は○月頃であると獣医さんが推測するのでしょうか?
よろしくお願いします。