井上 平太 先生からの回答
おそらく上皮小体の事だと考えられます。上皮小体はパラソルモンと呼ばれるホルモンを分泌して、血中のカルシウムの濃度を上昇させます。逆に上昇しすぎた場合には甲状腺から分泌されるカルシトニンにより低下していきます。つまり互いに拮抗する上皮小体のパラソルモンと甲状腺のカルシトニンにより血中のカルシウム濃度は維持されるわけです。
上皮小体は通常左右に2個ずつ全部で4つございますが、全て摘出する可能性があるのでしょうか?。甲状腺も摘出するわけですから、かなり綿密に血中カルシウム濃度をモニターしませんとカルシウム濃度を安全に維持する事は難しいです。かなりの覚悟が必要になります。このカルシウムの人為的な維持は手術後数時間後から必要になりますので準備を整えて手術に望まなければいけません。それで延期になったのでしょう。
カルシウムの維持に使われる薬はカルシウム剤のほかに活性型ビタミンD3などが考えられます。もちろん今回は甲状腺の摘出も行うわけですからより複雑なホルモン剤の投与が必要になる可能性がございます。
主治医の先生と十分に術後の管理のしかたをご相談された方が良いでしょう。経緯から見てかなり内分泌の経験の豊富な先生の治療を受けておられる事と思います。しかし、その後のケアは飼い主にかかって来る訳ですから慎重にご判断下さい。
お大事にしてください。
2007/06/11 00:18 参考になった! 0
投稿者 さん からの返答
井上先生丁寧なご回答ありがとうございます。上皮小体を全て摘出するかは分かりませんが、摘出する以上相当なケアが必要なことがよく分かりました。先生のアドバイスを肝に銘じて、今後はしっかりと愛犬のケアに努めたいと思います。
2007/06/18 12:18
是松 壮一郎 先生からの回答
こんにちは、Gymnastさん
手術の延期が決まり、ご心配もある事と思います。
早速ですが、今回同時に摘出が必要になった器官というのは上皮小体の事だと思います。上皮小体は、副甲状腺とも呼ばれる器官で、甲状腺のちょうど裏側ある小さなホルモン分泌器官です。残念ながら今回はおそらく甲状腺の腫瘍が上皮小体を巻き込んでしまったため切除が必要なのだと思います。
上皮小体自身がカルシウムを生成する訳ではなく、カルシウムの吸収を調整するビタミンDの活性を調整したり、骨からのカルシウムの放出を調整したりします。
ですので、今回の手術後も、カルシウム剤の補給ではなく、おそらく上皮小体ホルモン(PTH)の補給という事になると思われます。
以上、上皮小体の説明をさせていただきましたが、ご理解いただければ幸いです。
どうぞお大事になさってください
2007/06/11 00:23 参考になった! 0
投稿者 さん からの返答
是松先生、大変分かりやすく説明していただきありがとうございます。上皮小体の役割についてよく分かりました。それと同時に、とても大事な器官を摘出するのだなと痛感してります。愛犬のためにもしっかりとしたケアをしていきたいと思います。
2007/06/18 12:23
甲状腺の構造について
以前甲状腺癌について質問させていただいたGymnastです。検査の結果、甲状腺癌であることが確定いたしました。そして、主治医と打ち合わせをし、手術をすることになりました。ところが、手術をすぐにでも行うという時になって、手術の日程が延期になりました。理由は、甲状腺近くにあるカルシウムを生成する器官(?)も手術で切除する可能性が高まったことです。その器官を切除すると、その後は一生カルシウム剤を飲み続ける必要があるらしいのですが、そのカルシウム剤は普段病院には置いていないようで、それを準備するために手術の延期を決定したようです。
私にはよく分からない話なのですが、その器官とは一体どういった器官なのでしょう?主治医の先生からは簡単にしか説明していただけないので、他の先生方にご教授願いたいのです。私のつたない説明で伝わればよいのですが、その器官をご存知の先生に解説していただければ幸いです。