富永 敏秀 先生からの回答
返事が遅くなりまして、すいません。なかなか、よいアドバイスが出来なくて難しいのですが、お答えさせていただきます。
まず、腎不全がある患者さんに、腎臓の負担をまったくない状態で、薬物療法すると言うことは、とても難しい問題です。口内炎に関しては、ステロイドもメタカムも治療の選択肢ですが、両方とも腎不全の患者さんには、なるべく投与しないほうが良い薬です。
どちらが良いということは、一概に言い切ることは出来ません。患者さんの口内炎の程度、腎不全の進行の程度をよく考慮したうえで、やむおえずどちらかを選択せざるおえない状態です。 副作用を恐れて、一切の投薬を中止すると、痛みで食べられなくなるかもしれません。そうなると、飢え死にしてしまうので、副作用のリスクを犯して、投薬を続けることになっているのだと思われます。かわいそうなのですが。
いま、口内炎に対する治療として、殺菌効果のあるうがいの水、メタカム、抗生剤(アンチローブ)をお使いですね。ほかの治療法としては、インターフェロンの注射ないし点眼薬の眼、鼻ないし口への投与が考えられます。しかし、激しい痛みの場合は、インターフェロン単独では、効果はあまり期待できないでしょう。
腎不全の問題についてですが、点滴はしてあげても、良いかもしれません。点滴は、本来、脱水のひどい患者さんのために行うものです。脱水してなければ必要ありません。
ただし、メタカムは、腎不全プラス脱水で副作用のリスクが、かなり大きくなるお薬です。一般的に、メタカムもそうですが非ステロイド系の抗炎症薬は、脱水させると副作用が出やすくなります。
定期的に点滴をすることで、未然に脱水を防げますし、痛みで十分食事か食べられなくて脱水しやすい状態ならば、良いかもしれません。ただし、点滴すればメタカムによって、腎不全を進行させないという、確実な保障はできません。
メタカムの投与を今後も続けるようでしたら、脱水させないように注意してあげたほうが良いです。ただし、誤解のないように付け加えますが、ステロイドを使っていれば脱水しても良いかというと、そうではありません。いずれの場合も、なるべく脱水に気をつけてあげてください。
次に、点滴以外の腎臓の治療ですが、食事療法、炭の投与、ACE阻害剤の投与など、内科的な治療があります。可能であればしてあげたほうが良いと思います。
ただ、これも注意が必要です、食事を変更したら、食べなくなったり、口の痛みで投薬を嫌がったり、猫ちゃんにとっては、逆に負担になったり、うまくいかないことがあります。
患者さんの負担を考えて、ほかに出来ることがあれば少しずつ可能なことから実行していただくのが、よろしいのではないでしょうか?
主治医の先生が、一番よく患者さんの状態を把握されていると思いますので、点滴、腎不全の内科的治療法について、もう一度、よくご相談されることを、お勧めします。
2008/02/15 11:59 参考になった! 1
投稿者 みここ さん からの返答
富永先生、お忙しい中長いお返事ありがとうございます。炭の投与やACE阻害剤など初めて耳にしました。主治医の先生に詳しく聞いてみます!とてもわかりやすい説明とアドバイスをいただいて感謝いたします。
2008/02/22 11:59
高齢猫の口内炎治療
15歳の雌猫の口内炎で悩んでおります…
1年前に歯石を取りましたがほとんど良くならず、現在は殺菌効果のある
水でのうがいと朝晩のアンチローブ、1日おきのメタカムシロップを
服用しておりますが、こちらもあまり効果はなく口中は真っ赤です。
悪化をなんとか防いでる状態で、やめると口中がただれて痛がります。
昨年夏に急性腎不全になり、今は問題ない検査数値にもどり体調は
おちついています。
メタカムシロップが腎臓に負担がかかる薬だということなので
抗生物質も含めてなるべく薬の服用はしたくないのですが、主治医には
一生服薬しないといけない、と言われました。。。
他の病院に行ってみましたら、ひどくなってきた時にだけステロイドを
注射しては?という意見もありました。
高齢で腎臓にリスクのあるこの子にはどちらがいいのでしょう?
何かほかにいい薬や治療法があればアドバイスをお願い致します。
あと、前者の先生には腎臓のために週2回くらいの点滴を勧められ
ましたが、後者の先生には血液検査の結果を見る限り、高齢猫では
普通の数値で点滴の必要はないと言われました。
ちなみにBUN38.8、クレアチニン2.7です。
点滴は必要でしょうか??
今は腎臓の治療は何もしておりません。
あわせてアドバイスいただければ嬉しく思います。
よろしくお願い致します。