多飲，多尿

　コーイケルホンディエはとても珍しいワンちゃんで，当院でも1人いるだけですので，犬種特有の病気については解りません．しかしおっしゃるように多飲多尿は，病気の症状の可能性もあるので注意が必要です．
　ではいったい多飲多尿は，どれくらいのことを言うのでしょうか？一般的には，普通の環境，食事の中では必要カロリー(kcal)＝必要水分量(cc)といわれていますので，4.2kgの体重でしたら，まさに500-600ccです．ただしこの中には，食事の中の水分も含みますので，ドライフードでしたらそのうち10%，缶フードでしたら50-70％は水分ですので，飲水量は必要水分から食事の水分を引いた値になります．ただ，食事の中に塩分などの味付けがあれば飲水量が増えますし，激しい運動のためはいた息の中(呼気)の水蒸気が多ければ飲水量は増えます．また下痢をしたりして体の水分を失っても必要水分は増えます．それをある程度簡単に判断するために尿検査をして，尿比重を見ます(そのためにかかり付けの獣医さんが尿検査を進めているのです)
　仮に多飲多尿病気によるものであればどの様な病気が考えられるのでしょうか？1.クッシング症候群(副腎皮質ホルモンの過剰)2.子宮蓄膿賞3.糖尿病4.慢性腎不全5.初期の腎不全6.腎盂腎炎7.高Ca血症8.肝不全9.甲状腺機能亢進症10.副腎皮質機能低下症11.尿崩症12.偽心因性多渇が挙げられます．飲水量や尿比重で多飲多尿がはっきりしましと上記の病気を考えて生きますが，2.は女の子の病気ですので心配ありません，3,は尿検査ではっきりします．そのほかは血液検査で確かめていかなくてはいけませんが，一般的には3ヶ月齢ではあまり考えづらい病気です．
　ワクチンをうって良いかどうかは，上記のどの病気なのか？や本人の全身状態などで一概に言えませんが，3.のような重度の細菌感染を起こし免疫系が異常に亢進している場合には避けて方が良いと私は思います．ワクチンをうって効果が得られるかどうかは，病気の時は免疫機構が低下していることもありますので悩んでしまう所です．その場合には「無駄かもしれないが，感染症も怖いので…」と考え接種する事もあると思います，主治医の先生にご相談してみてください．
　あとクッシング症候群ですが，詳しい病気の説明は，本などで調べられると思いますが，一般的には中年から高齢のワンちゃんに見られる病気です．しかしこの病気の一部の下垂体性の副腎皮質機能亢進症は，教科書的には「1歳齢でも見られることがある」とありますが，3ヶ月齢のこで見たことは私はありません．またこのクッシング症候群は，血液検査でリンパ球と好酸球が減ってしまいますので，ホルモンを調べる前に疑いがあるかどうかを判断する事ができます．
　いろいろ書きましたが，まず主治医の先生のおっしゃるように尿検査をして，よく相談してみる事をおすすめいたします．当院にかかっているコーイケルホンディエ（ハルタちゃん)は現在10ヶ月で10kgです．これからどんどん大きくなるのでしっかりかわいがり健康管理をしてあげてください．

 2006/10/14 16:08 参考になった！ 0