今本 成樹 先生からの回答
今本です。
かかりつけの先生のおしゃることでいいと思います。
ただ、マージンを取るというのは本当に難しいもので、膝とか関節などにかかってくると大変です。
保存的なものであれば、放射線療法や、抗癌剤、免疫療法、、、、
あまりに大きくなったり悪性度の高いものでは、最悪断脚なども視野に入れた治療が考えられます。
犬の腫瘍で人と違うのは、やはり転移したり、再発したときの大きくなる速さです。可能な限り早い目の対処が求められます。人の腫瘍の先生と話をしていて、その中で症例の経過を話してみたら、「犬の方は、早いねぇ。」と言われました。術後の回復も早いのですけど、腫瘍の再発も人と比べて早いんだそうです。
外科手術の第一回目の手術が、根治の為の最大のチャンスです。
二回目に手術する場合には、もう再発しないように本当に大きく切りとります。何か出来るうちに何かしてあげてください。
おだいじに・・・。
2006/12/07 17:10 参考になった! 1
投稿者 leica さん からの返答
今本先生、お忙しい中ていねいなお返事を本当にありがとうございました。
十分なマージンを取るのが難しいということが、転移が少ない腫瘍であるのに再発率が高いということにつながっているのでしょうか。
今本先生のご説明で、第一回目の外科手術の重要性を改めて痛感しています。
今診ていただいている病院は獣医師ひとりの小さなクリニックで、CTや放射線などの設備はありません。予後のことも心配だというかかりつけの先生の助言もあって、こちらに相談をさせていただいた翌日、腫瘍科のある大学病院に電話をしました。
ただ、腫瘍科は非常に混んでいて、今予約できるのは一番早くて1月の5日になるそうです。
かかりつけの先生が病理の先生と話した限りでは、悪性度が低いので恐らくこれまでは相当の時間をかけて育ってきた腫瘍細胞だろうという事でしたので、1月の診察を待って手術をしようと思った次第です。
ですが、今本先生がご指摘になった「犬の転移・再発は早い」という点がとても心配です。
人間の癌ですと再発は早い方で3ヶ月から6ヶ月くらいでしょうか。それより早いとなると・・・
しこりの部分切除をしたのが11月28日ですが、それから1ヶ月ほどで急激な局所再発が起こるという事があるでしょうか?
第一回目の手術が重要であればある程、不安が増してまいります。
お忙しい先生に何度もお尋ねするのは申し訳ないのですが、もしもご意見いただければ幸いです。
2006/12/14 05:10
粘液肉腫の治療について
はじめてご質問させていただきます。
マルチーズ8歳6ヶ月(去勢済み雄)体重2.4kg
5年前に膝蓋骨脱臼で両後肢を手術した経験があります。
先月末に、右後肢膝の上に小豆大のしこりを発見しました。柔らかい感じで押すとやや動く感触があり、表皮の色などには異常は見られませんでした。
翌日、かかりつけの病院で穿刺検査をしてもらいましたが、粘性の液の中に紡錘系の細胞が少数見られるという事で腫瘍の疑いがあり、しこりを摘出しての病理検査を勧められました。
11月28日にしこりを摘出、12月4日に結果が出ました。
病理診断の結果は「軟部組織肉腫 粘液肉腫 低悪性度」でした。
しこり摘出時にはしこり以外の部分に肉眼でわかる変化はなかったそうですが、マージン部に近接して腫瘍細胞が認められたことから、再度の手術を勧められています。
そこで、まず手術の時期と範囲についてお尋ねしたいのですが、先日しこりの摘出で全身麻酔をかけたばかりですし、年末年始はかかりつけの病院が休診になるため、できれば年明け以降にしたいと思うのですが、手術は一刻を争うものでしょうか。腫瘍細胞の分裂像が少数で低悪性度ということは、多少時間の余裕があると考えられないでしょうか。かかりつけ医はどちらでも良いと言っていますが、時期を逸して後悔をするのも不安ではあります。
次に手術の範囲についてですが、膝の上という事でマージンが取りにくい為、関節の中まで深くえぐる事になると後遺症の恐れもあると言われています。かかりつけ医は「本来はなるべく広く深く取るべきだが、低悪性度である事に賭けてやや浅めに取るという考え方もある」と言っています。また、大きく取った場合手術後の感染症も心配です。症例の少ない腫瘍ということでかかりつけ医もこれまでに扱った事がなく、文献にも資料が少ないそうで判断の決め手がありません。
飼い主としましては、命の危険は取り除きたいけれど、QOLを著しく損ねるのも避けたいという気持ちの間で迷っています。
どの程度の範囲を、いつ手術するのが適切なのでしょうか?
それから、軟部組織肉腫は局所再発率が25%と高く、今回大きく取ったとしても再発のリスクはかなり残ると思われますが、局所再発した場合の治療はどうしたら良いのでしょうか?予後についてはかかりつけ医は経験が無いのでわからないそうです。
以上、先生方のご意見をいただければ幸甚に存じます。