井上 平太 先生からの回答
田端様の行った緊急処置は適切でした。これによりヒキガエルの毒素であるブフォトキシンはほとんど洗い流されたためほぼ無症状で済んだのでしょう。
ヒキガエルの体表にはブフォトキシン・ブフォテニン・エピネフリン・セロトニン・などが分泌されております。それらにより局所的な炎症・ジギタリス中毒様作用・嘔吐・痙攣・呼吸速拍・突然死などが起こります。食べてしまった場合には致命的と言えましょう。
動物病院には解毒剤はございませんので支持療法が主体となります。
①ソルコーテフなどのステロイドの静脈注射
②心電図をモニターしながらプロプラノロールの静脈注射
③アトロピンによる気道分泌や流涎のコントロール
④心調律の不正にはリドカインの投与
⑤必要があれば酸素吸入
⑥痙攣があれば鎮痙剤の筋注
⑦解熱剤の投与
などが推奨されます。
しかし、中毒の進行は30から60分で、最高レベルに達しますので、現時点で問題が無ければ心配には及ばないでしょう。
2007/11/19 00:05 参考になった! 1
投稿者 田端 さん からの返答
井上 様
お世話になります。
解かり易く且つ丁寧なご回答を有難う御座います。
私が行なった緊急処置が適切であったとご記入頂き一安心致しました。
また、事故発生から3~4日経ちましたが、痙攣や皮膚の炎症なども見受けられませんので、問題ないようです。
現在、動物病院には解毒剤はなく支持療法が主体となるとのことですが、今後 ヒキガエルの毒に対する解毒剤の研究開発がなされ、狂犬病やジステンバーなどのように動物病院で予防や対処が出来る日が来ることを期待しております。
2007/11/26 12:05
ヒキガエルの毒に関する対処方法について
お世話になります。柴犬1歳です。
昨日の夕刻(PM7時半)に近所の公園でヒキガエルをくわえてしまった(食べてはいませんが)ようで、その後直ぐに泡じょうの物を吐きながら気持ち悪そうにしていました。
緊急応急処置として、口の中に手を入れ水で洗浄した後、1時間程度様子をみて、痙攣などは起こしていませんでしたが、念のため救急動物病院へ連れていきました。
そこの病院での対応は、ヒキガエルに関する事例はあるが、学会の論文発表や解毒剤(血清)に関しての対処方法ないので1日~2日様子をみる以外は判断がつかないとのコメントでした。
症状自体は落ち着いていましたが、上記のコメントもあったため、点滴注射(肝機能を高める物?)と1日入院をさせることにしました。
そこで、ご質問なのですが、上記対応で問題なかったのでしょうか。
また、人間がマムシに噛まれたら血清注射があるのに、なぜ犬に対するヒキガエルの論文発表や解毒剤(血清)の研究開発はないのでしょうか。(ヒキガエルの毒性は強く死亡事例も多くあるようなので、解毒剤の研究開発がなされてもいいように思えるのですが)
ぶしつけな質問で大変恐縮ですが、ご回答の程、宜しくお願い致します。