古江 正人 先生からの回答
こんにちはパーク動物医療センターの古江です。
まるちゃんの血尿ご心配ですね。
まず、ご質問の答えですが、造影剤やレントゲン撮影で今より状態を悪くするということはあまり心配されなくて良いと思います。
全身麻酔を実施する際は常に注意が必要ですが(絶対100%安全な麻酔というものは存在しえないですので)、かかりつけの先生が麻酔が可能と判断されたならば先生を信頼して良いのではないでしょうか。
圧迫採尿時に膀胱を傷つけるという恐れはゼロではないと思いますが、そこまで力をいれて圧迫することはしないと思います。心配であれば、自宅で自然排尿の尿を採取できるまで検査を待たれてはどうでしょうか?
参考までにBSAVA犬猫泌尿器マニュアルP16の「血尿がある患者へのアプローチの要約」を抜粋しておきますね。
ます、全体的なデータベースを作るために、
・完全な病歴の聴取
・慎重な身体検査の実施
・血液検査、尿検査、腹部のレントゲン写真などのデータを集める。
これらを考慮した上で、
・排尿状態を観察する。
・膀胱穿刺で採尿したサンプルを定量的好気性菌培養にまわす。(これは尿分析で炎症や感染が示された場合です。)
・蛋白尿が検出されたら、蛋白/クレアチニン比を1回の尿で測る。
・もっと全般的な出血が疑われたりその形跡がある場合(尿だけでなく、その他の部位でも出血しやすく、その血が止まりにくいことがあったなど)には止血状態をチェックする。適切な止血パラメーターには、活性凝固時間、プロトロンビン時間、活性部分トロンボプラスチン時間、出血時間などを含める。
・必要に応じて画像診断を実施する。排泄性尿路造影、膀胱二重造影、尿道造影、超音波検査など。(おそらくまるちゃんはこの段階の提案を受けているところだと思います。)
・診断的サンプルを採取する。尿の細胞診超音波ガイドバイオプシーや吸引、膀胱鏡によるバイオプシー、手術バイオプシーなど。
以上が、血尿の原因をつきとめる流れとなりますが、どこまで検査を実施するかは飼い主様とかかりつけの獣医師との相談となります。
この文章がみけまま様のお役に立てれば幸いです。
2011/01/25 18:17 参考になった! 0
投稿者 みけまま さん からの返答
古江先生、詳しいご回答を頂きありがとうございます。
実は自分の判断でどこまで詳しい検査をお願いするかと言うところでモヤモヤしていました。
”ここできちんと治さないで、後悔するのではないか”とか”次に何か目立った症状が出るまで観察しようか”と・・。
お答えをいただいた感じでは、結構詳しい段階まで検査が進んでいるようなので
この機会にきちんと調べてもらうことにします。
お忙しい中ご回答ありがとうございました。
2011/02/01 06:17
見た目にはわからない尿の血液反応について
初めまして。今年8歳になる猫(メス)の事で質問があります。
昨年末から近所の獣医さんにお世話になっています。
まず血尿と頻尿で診ていただき、抗生物質で尿の回数と量は今までどおりに戻りました。
その後、抗生物質を2週間ほど投薬したあとの尿検査で、
『結晶や細菌は見られない』との事で抗生物質を止めました。
尿の色の見た目も正常になり、良い検査結果を楽しみにしていたのですが、目には見えない血液反応が出ているそうで、止血剤の錠剤を出され、それを2週間(途中で量を少し増やして)続けました。
今日で最初の血尿から1ヵ月経ちますが、検査の結果はやはり尿に血液の反応が出ました。今日も結晶や細菌の反応もありません。
今通っている病院の獣医さんは、”膀胱ではない場所(腎臓等)から出血している恐れがあるので、全身麻酔をかけて造影剤を投与してレントゲンを撮ってみる”ことを勧めてきました。
猫自体は食欲もあり、体重もかわらず、見た目には元気です。
獣医さんからも『緊急性はないのですが念のため』とは言われています。
全身麻酔や造影剤やレントゲンの放射線は、かえって今より状態を悪くしたりしないのかが心配です。
そういったことはないのでしょうか?
あと、採尿するのに膀胱を傷つけてそれが原因で出血している可能性はないのでしょうか?
(自宅で採尿できなかった際に、おなかを押して出されています。)
どうぞよろしくお願い致します。