今道 昭一 先生からの回答
文面からは複雑な病態であると思います。
このようなケースでは手順を踏んでしっかりと診断を進めましょう。
ステロイドを長期間に渡って投与していると、副作用が出ることはよく知られています。しかし、それと同じくらい臨床の場で悩むのは、ステロイドを飲むことによって根底にどのような疾患があるのかが隠されてしまうことです。
まずは外部寄生虫のチェックをして下さい。
アカラスや疥癬など皮膚内に寄生するもの、ノミなど皮膚表面に寄生するもの全てを調べましょう。本州であれば、ノミの予防は非常に重要です。
また、お腹の寄生虫も検査をしておくとよいでしょうね。
次に微生物感染について評価しましょう。
細菌、マラセチア、皮膚糸状菌は必ず調べなければいけません。検査では見つからなくても、どのような発疹が見られるかという点から予測あるいは診断しなければいけません。
この2つのステップで問題が発見されることは非常に多いです。
そして、見つかった問題に対して、適切でしっかりとした治療をすると改善することはよくあることです。
しかし、残念ながら、一度改善しても再発することは珍しくありません。
再発を繰り返す、完治しないというときは、根底にある疾患について評価しなければいけません。
アレルギー性疾患、ホルモン関連性疾患、免疫関連性の疾患、脂漏症、腫瘍など様々です。
アレルギー検査、甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンの評価などはプレドニゾロンの影響を受けます。
また、いずれの検査も適切な結果が出ない、治療の結果も思わしくないというのであれば、皮膚生検を実施すると良いかもしれません。
しかし、これもプレドニゾロンの影響を強く受けます。
これからの診断および治療過程として、理想的にはステロイドに代わる治療を探して、休薬期間を作って検査を受けることです。
しかし、かゆみが相当激しい場合は、手順を変えなければいけないこともあります。
また、体幹部(胴体)やお尻や太ももの辺りに症状が強く出ているのであれば、性ホルモン関連の疾患も検討する必要があるかもしれません。
しかし、知識のある獣医師が実際に診察してみるとここまで全ての検査をしなくても、どのような検査をするべきか絞り込むことができます。
紹介先の先生にもう1度相談してみるとよいでしょう。
2006/06/19 15:01 参考になった! 0
投稿者 さん からの返答
早速回答頂きありがとうございました。
いろいろな検査が必要だということで、少々大変に思いましたが、不安に感じていた通り出来ればステロイドを長期間投与せず、適切な治療を見つけていただけるよう、もう一度先生に相談したいと思います。
いつも家の中に居て、元気にしているので、このままで仕方ないのかなと諦めかけていました。相談させていただいて良かったです。ありがとうございました。
2006/06/26 03:01
長期のステロイド投与と・・・甲状腺
まもなく6歳になる黒パグです。2歳前に全身フケだらけになり、痒みもあり赤く血が滲み脱毛もはじまりました。なかなか良くならず、2003年9月に別の病院を紹介されアレルギー検査をしたところ、アシブトコナダニに弱陽性は認められましたが、他には何も異常はありませんでした。
その後、フラビタン、プレドニゾロンを続け痒みやフケ、脱毛が進むと量を調整しながら飲み続けています。先週、昨日と甲状腺の検査をしたところ、数値が0.9から0.5に下がり薬を飲んだのにもかかわらず良くなりませんでした。現在は胸、おしり、足の関節、尻尾、耳の後ろなど脱毛があり皮膚が見えている、又は何もない状態です。痒み、フケは治まってる感じです。
食欲はあり(皮膚疾患用フードとおから)元気ですが、散歩は好まず少々興奮しやすいです。良くなる兆しが見えずこの先不安ばかりです。