是松 壮一郎 先生からの回答
こんにちは、plaliceさん
今回の大阪のブルセラ症への大量感染が見つかってしまった事例ですが、獣医師にも、一般の方にもそれぞれの思いもあると思いますし、行政で問題に対処されている方々もいろんなケースを想定しての決断であったのだと思います。
ご存知のように、ブルセラ症は人畜共通伝染病であり、また、ブルセラ属に属する細菌によって人への感染の可能性があります。特に羊、山羊に感染するブルセラ属菌(Brucella melitensis)は人への病原性も強いとされます。一方、犬のブルセラ属菌(Brucella canis)は人への病原性は低いと言われるものの、海外では感染例が報告されています。
>>治療をすれば、感染の可能性はかなり低くなる、との意見がありますが
>>それでもムリなのでしょうか。
ブルセラ属菌は細胞内寄生性といって、動物の身体の細胞の中で増殖するため、抗生物質等で、症状の緩和は可能ですが、それでもブルセラ属菌の完全な殺滅はきわめて難しいです。
今回のように、120頭の感染犬を、感染の危険をおかして治療しながら飼育すること、里親にそれらの負担と責任を持ってもらうこと、感染犬が里親の元で、更なる感染を広げるリスクをおかすこと、これらを総合的に行政が判断しての苦渋の決断と、わたしは受け取りました。
外界との接触を一切断った状態で、120頭もの感染犬を保護、飼育出来る施設が自分たちにあれば……そう思います。
わたしとしてもこの場で、できるだけ多くの獣医師の意見が聞けるといいと思います。
2007/02/10 17:11 参考になった! 0
投稿者 plalice さん からの返答
是松先生、ありがとうございました。大変わかりやすい説明で、今回の件、どのような問題があるのかよく理解することができました。全頭救出に向けて、朗報があったようですし、すべてのわんちゃんが救われることを願っています。
2007/02/17 05:11
北森 隆士 先生からの回答
法律論から言えば、家畜はブルセラ確認で、直ちに
廃棄ですが、犬は、そのようになっていないのでは
ないかと思います(間違っていたら、他の先生訂正
してください)。
治療に関しては、犬では、完治させずらいというのが
実情のようです。
>治療をすれば、感染の可能性はかなり低くなる、との意見がありますがそれでもムリなのでしょうか。
治療をして、オスは去勢をすれば、ある程度は
感染の可能性は低くなると思いますが、その
感染率の低下を数値化できるかどうかが問題なのです。
問題は、公衆衛生上のことですから・・・・。
>なんとか全頭治療をしながら今後も飼育続けていくには
>どうしたらよいでしょうか。
少なくとも、そんなに簡単にヒトに感染するもの
ではなさそうですから、(だからこそ愛護団体が
保護できるのでしょうが)、もっとも合理的な解
決法は、獣医細菌学・・医学者でも良いのですが、
の研究の徒が、無駄死にさせないために、最新の
治療法を研究するために飼育することだと思います。
全てはむりかもしれませんが、1頭でも
という使命感のある研究者が現れることを
期待しています。
(無論、法律論がそれを許すならという前提です)
2007/02/10 20:49 参考になった! 0
投稿者 plalice さん からの返答
北森先生、ご回答ありがとうございました。
感染したとしても殺処分の義務がないのであれば殺す必要もない。。。ということで何とか保護の方向に動けばな、と思いました。ある獣医の先生が全頭無償で避妊・虚勢手術をし、保護する方針を決めたようなので、明るい道が開ければ、と思います。
2007/02/17 08:49
犬のブルセラ症に関して
こんにちは。お世話になります。
大阪府ブルセラ病感染犬等救援本部が設置された件について
質問させていただきます。
今回、ブルセラ症に感染した犬達約120匹あまりが殺処分されると
会議で決まったとのことですが、
ブルセラ症に感染した犬達は、本当に今後飼育が不可能なのでしょうか。
これ以上の感染の拡大を恐れての殺処分、とのことですが
治療、感染に関して、いろいろな意見があるようで、よくわかりません。
先生方は、全頭殺処分の必要性があるとお考えでしょうか。
治療をすれば、感染の可能性はかなり低くなる、との意見がありますが
それでもムリなのでしょうか。
なんとか全頭治療をしながら今後も飼育続けていくには
どうしたらよいでしょうか。