杉浦岳 先生からの回答
はじめまして。
精巣腫瘍はその種類にもよりますが、転移をしたり、致命的な貧血を起こしたり、大きくなって自壊(破裂)したりと様々な問題を起こします。現在18歳ということで合併症もあるようですが、この先まだ数ヶ月以上元気でいる可能性が高いのであれば精巣腫瘍による体調不良や疼痛が発生する可能性があり、手術をするメリットは有るのではないでしょうか。逆にあと数週間〜2〜3ヶ月の命という状態であれば、現時点で悪さをしていない精巣腫瘍に積極的な治療は考えにくいでしょう。
本来は去勢手術をしておけば防げた病気で、最近では少ない病気になっていますね。
ジャッキーちゃんの体の状態を正確には把握出来ませんから、参考までにお読みいただければ幸いです。
1.悪性腫瘍で転移や致命的な症状が出る場合があります(それから手術をしても遅いです)ので、現在の体調が手術を許すのであれば、そして上記のようにまだしばらく寿命があるとお考えであれば、してあげたほうがいいと考えます。
破裂した場合に手術ということも書かれていましたが、今から半年や一年後、今よりそれだけ年をとってからの、しかも破裂して状況が良くない中での処置が必要になると考えると、今の状態でそれほど麻酔のリスクがないのであれば早く処置をしておいたほうがいいようにも感じます。
2.肺以外にも腹腔内のリンパ節への転移がよく見られます。また転移がなくても致命的な骨髄抑制を起こすことがあり、これは手術をして腫瘍を摘出しても回復することはありません。骨髄抑制が出る前に治療する必要があります。
3.手術をしなければ上記のような問題が出て、命にかかわる場合があります。18歳という現在の年齢からどのくらいの寿命があると判断するかは現在のジャッキーちゃんがどのような状態でどういう治療を受けているのかが正確にわかりませんが、ご家族がどのようにお考えか、また診察されている獣医師がどう考えているかを話し合っておいたほうがいいですね。また、腫瘍が破裂した場合は直接それが命にかかわることはないかもしれませんが、痛みや不快感は強いですし、それを管理しなければならないご家族にも負担は大きいと考えられます。
4.「雄としての元気」というのがどういうものを意味しているのかわかりませんが、18歳の犬に例えば縄張りを見まわってあちこちマーキングするとか、番犬として知らない犬や人に吠えるということを期待されているのであればともかくとして、通常生活する上での健康状態に去勢手術が悪影響を及ぼすとは考えられません。むしろ癌を持ったまま生活している方がずっと健康状態には良くないと考えます。
18歳という年齢を考えると、獣医師としては手術は勧めても「手術をしたらこれから1〜2年元気でいられる)という確証はない(元々の寿命をもう大きく過ぎているから)ため、積極的に手術を薦めにくいという事もあります。寿命をのばすと言うよりはその期間を少しでも快適に過ごしてあげる、そして万が一進行が早かった場合には手術により寿命が縮むのを止めることができるかもしれないというふうにお考えいただき、手術をした方がいいかどうか考えてあげて下さい。してもしなくても、ご家族が真剣に考えた結果の結論であれば、ジャッキーちゃんにはそれが一番いい結論です。いくつか選択肢があるうちによく相談し、みんなが納得できる結論を出してあげて下さい。
2013/05/29 09:06 参考になった! 0
投稿者 衣文 さん からの返答
返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。大変詳しくご回答頂き、ありがとうございます。現在、手術をしようという方向で考えています。また新たに疑問がうまれましたら、質問させて頂きたく思います。お忙しいなか、本当にありがとうございました。
2013/06/05 09:06
精巣腫瘍手術について
はじめまして、衣文と申します。犬(中型犬・13,2kg・オス・18才くらい・雑種)の精巣腫瘍手術について質問させて下さい。
お聞きしたいことは、
1、手術はした方がよいのでしょうか。
18才という年齢を考えると、心身への負担(全身麻酔など)やフィラリア症(診断されたのはH23・5・20)も患っているのでとても心配です。
現在の睾丸の状態は、大人の握り拳よりも二回りくらい大きく、かなり重さもあります。彼の睾丸は、はじめから左右の大きさが異なり、おそらく腫瘍となって今は1つのボール状に見える(小さい方がちょっと残っています)ため、かかりつけ医の先生からは、手術をするのであれば、同時にエコー検査で停留精巣か確認し、もし停留精巣であれば摘出するとおっしゃっていました。
2、肺以外の臓器にも転移はするのでしょうか。また、肺以外への転移がある場合、やはり精巣腫瘍を摘出すると、臓器へ転移した腫瘍は
大きくなってしまうのでしょうか。
肺への転移があると手術できないため、レントゲンを撮り(H25・5・12)調べました。肺に転移はなく、心臓が少し大きくなっているが、年相応と言われました。肺以外のことは言われていませんが、レントゲンだけでは他の臓器への転移は調べられないのでしょうか。
3、手術をしなかった場合、今後、あらゆる場所への転移・寿命への影響はあるのでしょうか。
4、手術をした場合、オスとしての元気はなくなってしまうのでしょうか。
フィラリア検査のため、血液検査もしました。その時、様々な検査項目も調べてもらったのですが、BUNという項目が2年前(18.0mg/dl)よりも高く、今年(H25・4・28)参考基準範囲を超え(34.5mg/dl)、先生は腫瘍が原因かもしれないとおっしゃっていました。他の項目の数値は、年相応・年齢よりも良いとのことでした。腫瘍は破裂してしまうこともあり、手術はそのときでもよいとおっしゃっていましたが、破裂した時、他に転移があったらと考えると怖いです。
今現在の彼は、足腰が弱く眼も見えにくくなっていますが、ごはんをよく食べ、快便で、散歩も欠かしたことはありません。貧血を起こしたこともありません。睾丸がいつ頃から大きくなりはじめたのか覚えていませんが、少なくとも2年前から大きいです。もっと早く、睾丸の大きさに疑問をもっていたらと後悔しています。彼の寿命がどのくらいあるのか知ることはできませんが、これから更に年を取り、腫瘍が負担となるなら、手術をして今よりも元気になるなら、してあげたいという気持ち
と、手術を受けさせるのが不安という気持ちがないまぜになっています。しかし、今できる最善の選択をしたいです。様々な見解をお聞きしたく、質問させて頂きました。
ご回答、よろしくお願い致します。