栗尾雄三 先生からの回答
獣医師の栗尾と申します。
まだ3歳ということで心配な状況ですね。
治療方針については、まず肝臓の問題なのか、肝臓以外の問題なのかということを考える必要があるのかもしれません。
肝臓以外の問題であるときに、例えば以下のようなものが挙げられます。
①心臓病
肥大型心筋症など心臓病をかかえているときは肝臓の数値が高くなるケースがあります。この際は当然、肝臓の治療ではなく、心臓の治療が必要になります。なかなか血液検査がよくならない時は心臓病を疑ってかかる必要もあるかもしれません。今では心臓病特有の血液検査などもできるようになってきましたので、診断はしやすくなっています。
②甲状腺の問題
甲状腺機能亢進症では肝臓の数値が高くなりやすいです。多くは高齢の猫の病気ですが、若齢でも可能性がないわけではありません。甲状腺も問題の場合も、肝臓の治療をしても著効するわけではありません。やはり甲状腺の治療をしてあげないといけません。血液によるホルモン検査で容易に判定が可能なので、検査を受けてみるのもありだと思います。
③感染症
FIPなどの感染症でも肝臓に影響があるかもしれません。ただ、家猫で外に出たりせずに、混合ワクチン接種などをしていれば、限りなく感染症の可能性は低いかと思います。生肉や生魚を与えたりしていなければ、問題とはなりにくいですが、候補の一つにはなります。
④血管の病気
門脈シャントなどの血管の異常があれば、肝臓に影響が出てきます。年齢的には可能性はあるかもしれません。門脈シャントはアンモニアの検査やTBAなどの検査で疑うことができます。もしかしたら手術などで改善がみられるかもしれません。
一方で肝臓自体の問題であれば、現状のように投薬で対処するしかないかもしれません。針生検もひとつの方法ではありますが、あくまで肝臓が良いか悪いかを見る程度で、内服薬などは変更がないような気がします。
重要なことは本当に肝臓の問題なのかということです。もし実施していない検査などあれば考えてみていただいてもよいかもしれません。
どうぞよろしくお願いいたします。
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konomi動物病院 獣医師 栗尾雄三
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どうぞよろしくお願いいたします。
2022/08/18 22:11 参考になった! 0
毎日、嘔吐し、ALTが悪化している猫について
初めまして。アドバイス頂きたくご質問させて頂きます。
◆猫の情報
ヒマラヤン、男の子、3歳、PKD遺伝子有り
◆病状と診察状況
・2021年4月にALTが340まであがるも、タチオン錠とウルソ錠を毎日投与し、10月に正常値になる
・2022年4月にALTが374まであがるも、タチオン錠とウルソ錠を毎日投与し、で6月に正常値になる
・2022年7月11日から7月19日まで毎日1度の嘔吐(毛玉がある場合が4割程度)発生
・7月19日に通院し、胃を持ち上げる薬、セレニア、水分を投与。
・7月20日は嘔吐(ここからはほぼ毛玉なし)、21日は嘔吐せず、22日に再度嘔吐
・7月22日に通院し、血液検査。ALTが126。他は正常値
→胃を持ち上げる薬を4錠いただき、毎日投与
・7月25日に人間だけ通院し、タチオン1か月分、セレニア3日分をもらい、毎日投与
・7月30日に嘔吐、また、8月1日と2日に2回ずつ嘔吐
・8月3日よりセレニア錠を1日おきに投与
・セレニアがきれた8月10日より毎日嘔吐し、8月15日は3回、16日は2回嘔吐
・8月16日に通院し、胃を持ち上げる薬、セレニア、水分を投与。
また、血液検査の結果、ALTが155に悪化し、アンモニアは90と基準値をやや超える。
また、超音波検査とエコー検査では問題なし
→ラクツロースを1日0.4mlを朝晩の2回投与する指示
全体的には、排便は通常通りしますが、食欲が減り、元気もなさそうです。体重は3.4㎏から3.1㎏に減少しました。
◆質問
現状、毛玉とALTの悪化、アンモニアの悪化への対策として、薬を家で投与するのみです。昨年からALTが継続的に悪化しているなかで、このように血液検査と薬を投与するだけで、大丈夫でしょうか。
検査方法、対処方法について教えていただきたく存じます。
原因を根本から調査する必要性などがあるのではないかと考えております。かかりつけ医としては、針生検は病気の解決に至るものではなく、体への負担が大きいため、不要ではないかと考えているとのことです。