是松 壮一郎 先生からの回答
こんにちは、アラピョンさん。
犬の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)についてのご質問ですが、獣医師からも説明を受けた上で、積極的な治療はせずに過ごすことを選ばれたとのこと、ご家族で充分話し合われての結論であれば、尊重されていいことと思います。
副腎皮質機能亢進がどのような原因で起きているかによって、経過も異なり、治療の方法も、手術が適応であったり、高価な薬と管理とが必要になるケースがあるのは確かです。それらに関して継続が無理であれば積極的には治療せず、対症療法などで、経過を見ていくことも、飼い犬への愛情だとわたしは思います。
今後の進行具合などについては診察された獣医師からも話があったかと思われますが、補足の意味でも少々お話しておきますね。
先ほども申したように、今後の病気の進行は副腎皮質機能亢進がどのような原因で起きているかによって異なってきます。クッシング症候群の原因には大きくわけて3つの原因が考えられます。一つは副腎皮質その物の腫瘍などによるもの、そして、もう一つは副腎皮質の作用を調整している脳下垂体の腫瘍によるもの、そして、最後が医原性といって、薬などの副作用によるものです。
臨床症状で特に見受けられるのが、多飲多尿、多食、喘ぎ呼吸、腹部の膨満、筋肉の虚弱、元気消沈、被毛の脱毛や、粗剛などですが、それぞれの腫瘍の腫大化による他の臓器への影響により多臓器の障害を起こすようになります。すなわち下垂体腺癌であれば、隣接する視床下部や視床などに侵襲圧迫を起こせば神経症状や、体温調節機能の欠如などの症状を引き起こしますし、副腎皮質腺癌であれば、周囲の腎臓や肝臓、後大静脈などを障害し、多臓器不全や、血行障害などをおこします。また、両者とも血栓塞栓症を起こしやすいため肺に異常をきたして、呼吸困難になる子や他の感染症で命を落とす子も多い傾向があります。
これらの致命的な症状がどのくらい経ったところで発症するのかは、腫瘍の成長の度合いによって異なりますので、具体的な年数等は呈示出来ません。
ただ、下垂体腺癌による副腎皮質機能亢進症と診断された犬の平均生存期間は30ヶ月とされていて、若い犬ほど長期間生存するといわれています。
ただ、残念ながら、上記の30ヶ月という数字も治療を続けた上でのデータですので、今回の様なケースで、余命がどのくらいかのデータは無いのです。
今から、腫瘍が大きくなっていく事による障害が様々な形で出てくることが予想されますが、そのような時でも、何かしらの対症療法はある事と思いますので、どうぞ獣医師と連絡をよく取って、なるべくクッシングの子が苦しまないように処置をしてあげてくださいね。
参考になれば幸いです。
どうぞお大事になさってください
2007/08/03 16:58 参考になった! 0
投稿者 さん からの返答
暖かいご回答ありがとうございました。この子を見てると、うちの子にならなければ きちんと治療を受けさせてもらえたのではないかと、不憫です。どれだけの命かわかりませんが、残された時間を一緒に大切に過ごし、思い出をつくってあげられればと思っています。
2007/08/10 04:58
クッシング症候群
プードルと同居犬のミックス犬。メス9歳
多飲、多尿その他色々あり、先日、病院で血液検査の結果、クッシング症候群とわかりました。色々と説明をうけました。夫婦でよく話し合いました。情けない飼い主でこの子には申し訳ない気持ちでいっぱいです。高価な薬と管理が必要とのことですが、私たちには経済的にそれを受けさせてあげられません。
これから先、治療を受けさせてあげられないこの子は、どのような
経過をたどり、どのくらい生きられるのでしょうか?
現在、白血球が14700、肝機濡PT107、ALP>3500、HCT48.9 と血液検査で異常だった数値です。もちろんクッシングの診断の血液検査もしての結果です。脱毛はまだありませんが毛並みは悪くなりました。
よろしくお願いします。