井上 平太 先生からの回答
手術をする場合には必ず手術糸を使って縫合する事になります。これは当たり前ですよね。この糸というものはどのような素材を使っても、生き物にとって異物であることに違いはございません。
今回起こっている反応は糸に対する異物反応と思われます。慢性的に非化膿性の炎症が長期にわたり継続すると縫合性肉芽種が起きたり、縫った糸から皮膚の表面まで管でつながり、滲出液や膿が漏れ続けることもございます。
この異物反応とは、糸に対する免疫が過剰に行われる事を言います。本来体に無害なので反応する必要がないのに、攻撃し続けてしまう一種のアレルギー性疾患です。
不衛生な糸を使う事と、この反応が起こることは、無関係です。ただし、絹糸は比較的この異物反応が出やすいので、最近はあまり使われなくなりました。しかし、絹糸を使う事は獣医学的にも教科書的にも、もちろん法的にも規制はされておりません。
ここ数年の現象ですが、最新の新素材を使った糸でもこの反応が見受けられるようになりました。犬自体の体質の問題なのか、あるいは体質を変えてしまう環境の問題があるのかは判りません。人間でもアレルギー体質の方が年々増えていますよね。
治療としてはその糸を手術で摘出するのが一番です。その時に皮下組織は縫わないか溶ける糸を使うか除去した物と別の糸を使って見るかは主治医の先生とよく話し合ってみるとよいでしょう。
他に健康上の問題がなければ、個人的には手術をお勧めいたします。
2009/03/18 23:13 参考になった! 0
投稿者 mattsu さん からの返答
井上先生、早々の回答を頂きありがとうございました。大変わかりやすい説明で良く理解できました。異物反応、一種のアレルギー反応とは、『衛生的でない糸を使った』より、頭の中で整理がつき一歩前進したような気持ちです。何年もこのような状態でしたので、摘出手術をうけさせようと思います。皮下組織の縫合の件、糸の種類は相談してみます。
とても丁寧なご説明をありがとうございました。
2009/03/25 11:13
手術について
はじめまして。手術のことで不安がありますので質問させていただきます。
ジャックラッセルテリア5歳、女の子です。
先週末より、一歳の時にうけた避妊手術のあとが赤くはれ、膿が出て、現在は、2~3ミリの穴があいている状態です。(一歳以降度々こういったことがあり、抗生物質でなおしてきました。)病院(避妊手術をうけた病院とは違います)では『縫合した糸が衛生的ではないとこういうことが起き、手術で糸を取り除く必要がある』との説明でした。事前にネットで『縫合性肉芽腫』という病気があるのを調べていたので、先生に『手術の際に絹糸が使われたからではないですか?』と質問すると『絹糸???うちではナイロンと○○○(←何の種類かわかりませんでした)しか使ってなんだけどなぁ。絹糸???』という回答だったのでそれ以上聞くことができませんでした。
そこで、質問なのですが、
『縫合性肉芽腫』と『糸が衛生的でない』ということは、同じなのか?
絹糸のことを触れなかった先生に手術をおまかせしてしまって大丈夫か?(避妊手術でこういうことになっているので慎重になっています)
去年、全身麻酔で抜歯をしているので犬にかなりの負担をかけてしまうのではないか?
ということが心配です。もうこれ以上、避妊手術の傷あとで、犬に余計な負担をかけたりしたくありません。どうぞよろしくお願いします。