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慢性腎不全の治療方法とフォルテコール

質問カテゴリ:
その他

対象ペット:
/ 雑種 / 男の子 / 13歳 7ヵ月

質問者:
--- / 非公開中の会員 (この方の過去の質問 2件)

 
2016/12/06 12:42

食欲不振、体重の減少で病院に行ったところ、末期の慢性腎不全と診断されました(検査は血液のみ)。今後は皮下点滴を5日に1回程度行うこと、フォルテコールの投与を提案されました。医師に、フォルテコールは血管の拡張と血管内にできた邪魔な物質を取る効果があり、問題になるような副作用もないと伺ったのですが、ネットでは末期の腎不全には体重減少や脱水、急性腎不全を誘発する可能性があると多数書いてあったので、使用をためらっています。また、尿検査やエコー検査は、せずとも慢性腎不全だと言えるので、実施しないとのことでした。少しでも苦しまず、よい方向に持っていけたらと思うと、とても不安です。治療方法に問題がないか、教えていただけますと大変助かります。よろしくお願いいたします。

1.初日の数値 体重3.3キロ、低体温
RBC614、BUN83.2、CRE4.5、GPT99、TP8.6、ALB3.8、TCHO268、Na148、K2.6、CL117
4泊入院し静脈点滴、抗生剤注射、ブロードライン(外に出ます)
2.3日目の数値
RBC543、BUN56.6、CRE4.0、GPT63、Na159、K2.9、CL121
3.5日目の数値
BUN75.6、CRE5.0、Na171、K4.3、CL132
医師の見解は、NaKCLのバランスが悪く、BUN、CREも改善されず。末期の慢性腎不全。良くはならない。でした。
退院後、すごく食欲がでて(腎不全用のドライフード、ゆでた生のタラを少し)、水もよく飲んで、トイレは1日3回くらいしています。体重は退院4日後には3.8キロに増え、動きもシッカリしています。

どうぞよろしくお願いいたします。

 フォルテコール等のACE阻害薬は確かに腎臓を助ける薬ですが、腎臓にとって良くない作用も起こり得るのは事実です。
 腎不全になり腎臓の血流量が減ってくると少ない血液から原尿を作るために腎臓の血管が細くなり血液の流速や圧を維持しようとします。それでも維持できなくなるとさらに機械的に血管が細くなりついには血管が閉じてしまい血流が途絶えその部分の腎臓の細胞(ネフロン)が死んでしまいます。この悪循環が続いて腎臓が小さく萎縮していきます。ACE阻害薬はこの一連の流れを抑えてネフロンを構成する腎臓の細胞が自滅することを防いでいきます。この機序を専門的にACEによるAT1抑制と言います。しかし、腎臓にとって好ましい10%ほどのAT2も抑制してしまうので、腎臓に良くないことも起こり得ることになります。そのAT2の抑制を防いだセミントラという薬も今は開発されておりますが少々薬価が高くなるかもしれません。
 現状ではフォルテコールもかなり使われておりますし、たくさんの猫たちが延命できておりますのでご安心ください。
 お大事にしてください。

投稿者 さん からの返答

井上先生、早速ご回答いただきましてありがとうございました。
セミントラもあわせて担当医に相談してみたいと思います。

再び 井上 平太 先生 からの回答

食欲が改善されて粉粒の薬も与えられそうであれば、コバルジンやマイメジンなどの尿毒症成分の吸着薬も合わせて与えられるとさらにQOLの改善が期待できます。

投稿者 さん からの返答

井上先生
返事が遅くなり申し訳ありません。さらなるアドバイス、ありがとうございました。また、いくつかの質問をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
1.これらの吸着薬によって、大切な成分も吸着、排出されてしまうとネットに出ていましたが、心配はないのでしょうか。
2.尿検査をしていませんが、しなくとも慢性腎不全と診断されるのでしょうか。
3.現在3日あけて皮下注射(通院)をしています(まだ、今週月曜日に1回目をしたばかりですが)。担当医は、飼い主の希望する回数でとおっしゃっており、目安を伺って回数を決めました。しかし、あまりすると、水が体にたまってしまう、血液が薄まってしまうとネットに出ており、今の回数が適切なのか心配になっています。例えば、背中の皮を持ち上げて脱水の具合で点滴するなど、状態によって点滴するようにしたほうがよいのでしょうか。

いろいろと申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

再び 井上 平太 先生 からの回答

1 従来の薬用炭には分子量による選択性がない物が多く、必須な栄養素も吸着してしまい、食事と一定間隔を置かなければなりませんでした。しかし、上記2種は分子量1000前後の尿毒症成分に特化して吸着しますので安心して投与できます。

2 おそらく腎不全による尿毒症と思われますが、甲状腺機能に関する検査を行うと類症鑑別が出来ます。
貧血の進行にもご注意ください。腎臓はエリスロポエチンを分泌して赤血球数を維持管理しているので、貧血も進みがちです。

3 腎臓のネフロン単位は大きく分けて原尿を機械的に大量に作る糸球体と必要なものを再吸収する尿細管に分かれます。猫の腎不全ではまず尿細管が機能低下しますので、大量の尿を出すようになるわけです。ですので電解質の補正をしながら脱水を防いでいかないと極度の脱水のために尿が作れなくなり、急激に尿毒症が進んでしまいます。
 欲を言えば毎日皮膚をつまんだり体重を測ったり尿量を確認しながら、その日に必要な量を皮下補液していくのが理想です。しかし、理想どおりは困難ですので、できる範囲内で必要な分をまとめて補液していくわけです。落ち着いていれば週2回くらいでもよいのでしょうが、進行とともに間隔を短くせざるを得ません。
 長期戦ですので飼い主が息切れしない範囲内で行っていきましょう。この頻度や適正な量は診察している獣医師にしか判断できません。多すぎれば肺水腫を起こして呼吸困難に陥地ますし、少なければ脱水や尿毒症の悪化を招きます。

投稿者 さん からの返答

井上先生
たびたびの質問にもご丁寧に説明していただき、ありがとうございました。
おかげさまで、多少なりとも不安が解消されました。
井上先生のお話を参考にさせていただき、担当医に相談しながら治療を進めていきたいと思います。ありがとうございました。

再び 井上 平太 先生 からの回答

かえってお返事いただき恐縮です。
私は腎臓の機能で大学院で学位を取得しましたので、少々長くお付き合いさせていただきました。
日々の診療の中ではなかなか飼い主の方の疑問に答えきれておりません。
釈明の機会をいただけて感謝しております。
どうぞお大事にしてください。

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