宮澤 裕 先生からの回答
Hanaさん、くっきーちゃん、こんにちは。
脾臓の血管肉腫について、いろいろご相談もされてきたと思います。
わかる範囲でコメントをさせていただきます。
①のご質問に関してですが、腫瘍と闘う子達は腫瘍に栄養を奪われます。
したがって、栄養の補助はサプリよりもたくさんの栄養素が望ましいと思います。
腫瘍と闘う子が必要とする栄養素は、健康な子達とは大きく異なります。
普段のお食事を元に、どのようなお食事に変えるべきかホームドクターさんと相談してみてください。
また、自力で十分に食べれない場合の補助の仕方もいろいろあります。
②すでに脾臓摘出がされていますので、今後の問題は他の内臓への転移があるかどうか、だと思います。
脾臓の血管肉腫の25%は心臓の右心房という場所に転移します。
経過観察の一環として心臓のエコー検査が望ましいです。
他に転移しやすい臓器としては、肝臓、肺、脳、腎臓、筋肉、リンパ節、副腎などです。
脳への転移率は約14%と意外と高いことが報告されています。
私がいままで血管肉腫の子と闘った経験上では、末期に皮膚転移がみられる子が多いように思います。
皮膚に小さなチマメがたくさんできてしまいました。
また、脾臓摘出後の生存期間に関する報告では、
手術のみの場合は19〜86日であり、
手術後に抗がん剤を併用した場合は141〜179日とされています。
しかし、いずれの場合も手術後に1年間生きられる確率は10%未満です。
つまり、抗がん剤によって、腫瘍が悪さを始めるまでの期間を先延ばしにできるというイメージです。
もちろん、抗がん剤は毒でもあります。
それぞれの抗がん剤の副作用などの特徴を把握し、うまく使わないと副作用ばかりが強く出ることもあるかもしれません。
③血液検査は、貧血の進行度合いや、各臓器の状態を把握するためには有効ですが、腫瘍の進行を直接反映するものではありません。
抗がん剤を使用するのであれば、抗がん剤のスケジュールに血液検査も組み込まれてきます。
転移を受けやすい臓器の定期検査としては、肺のチェックとしてはレントゲン、心臓やお腹の臓器チェックとしてはエコー検査が望ましいです。
検査の頻度は、症状の出方や体調などによってさまざまです。
行うべき検査の組み合わせ、頻度はこれまでの経過を把握しているホームドクターさんの判断がベストです。
重い病気との闘いで不安も多いと思います。
1日1日を楽しく過ごせるようご協力ができれば嬉しいです。
アイビーペットクリニック
宮澤 裕
2011/09/17 21:57 参考になった! 3
投稿者 Hanaちゃん さん からの返答
詳しく教えてくださって本当にありがとうございます。とても丁寧で分かりやすいです。病院に連れていくと、愛犬が怖がってオロオロするので、そちらに気をとられ、なかなか説明をじっくり聞けなかったり聞き忘れてしまったりしてしまうので、とても助かりました。
やっぱりとても厳しい病気なのですね…。少しでも愛犬への負担が少なく、そしてこれからの日々を楽しく過ごせるようにサポートします。ありがとうございました!!!
2011/09/24 09:57
血管肉腫の予後
こんにちは、どうぞよろしくお願いします。
ゴールデンレトリバー、♀13歳2ヶ月。8月末に脾臓に腫瘍が見つかり、8月末に脾臓全摘出手術を受けました。手術前は大きな貧血もなく安定していました。開腹したところ、腫瘍は脾臓にくっついてできており、一部以前に破裂し、脂肪で止血?されていました。摘出後、内臓の洗浄もしてくれたとのことですが、いつ破裂していたのかは分からないそうです。
病理検査の結果、非常に残念ながら血管肉腫でした。術後、貧血になり(PCV29%、Hb10.1)、また高齢で数日歩かなかったせいか、自力で立ち上がることも歩くことも出来なくなってしまいました。大変心配しましたが、手術から2週間後にはPCV37%、Hb12.7まで回復し、今では自分で立ち上がり、歩くことも徐々に出来るようになってきました。まだ歯茎の色は薄めですが。
自分で調べましたところ、血管肉腫の予後は悪く、手術後通常1週間~3ヶ月が限度だと知りました。今のところ、食欲もあり、肺や肝臓への転移はありません。少しでも長く、痛くなく、辛くない穏やかな生活を送ってもらいたいのです。何か今できる方法はないでしょうか?先生には抗がん剤は効かないと言われました。(副作用で弱る可能性もあると)
ここで質問なのですが、
①今は、ベータグルカンや肝臓系のサプリ、水素水などで補助していますが、他に何かよい方法はありますか?
②また、この後どのような病状を辿るのでしょうか?とても大切に一緒に暮らしてきた犬です、覚悟もしておかなければと思います…。
③血液検査やレントゲンは、どれくらいの頻度でするのがよいでしょうか?