だいじょうぶ?マイペット

乳腺腫瘍の疑い

質問カテゴリ:
その他

対象ペット:
/ マルチーズ / 性別不明 / 年齢不明

質問者:
東京都 / くるたんさん (この方の過去の質問 30件)

 
2007/03/07 10:21

今年の4月で、2歳になる女の子で出産経験が1度あり、去年末に避妊手術を受けています。

先週、抱き上げた所おなかにしこりを見つけ、すぐに病院へ行きました。
まだしこりが小さいから、摘出して病理検査をした方がいいとのことで、今日から入院しています。
が、今日になり病院へ行ったところ、すでに他の乳房にも転移?していました。全部の摘出は一度には出来ないと言われ、大きく出来ている方を先に右半分をとることになりました。
若いのに、避妊もしてあって、出産経験もあるのに、どうしてかなぁ~と先生も首をかしげていました。
やはり、乳がんと考えた方がいいのでしょうか?
その後の治療方法や、再発率、生存率など、一般的なことを教えていただきたいです。

こんにちは。
猫の乳腺腫瘍は悪性の場合が多いと言われていますが、私の経験では良性な乳腺腫も多く見られます。したがいまして、いまここで悪性か良性かわからない段階で予後や再発について考えるより
病理検査結果で今後のことを考えられてはいかがでしょうか?

投稿者 くるたん さん からの返答

お返事ありがとうございました。

獣医師の大村です.
まだ2歳のねこちゃんでとてもご心配のことと思います.
いくつかご質問があり,私がお答えできる範囲で書かせていただきます.
おなかののしこりは,いろいろな原因でできます.それが(1)乳腺に関係しているもの,(2)乳腺以外のものの両方があり,(1)でも(1-1)乳腺の炎症,(1-2)乳腺の過形成(ホルモンの影響を受けた変化),(1-3)乳腺の良性の腫瘍,(1-4)乳腺の悪性の腫瘍(これが乳腺癌)があり,(2)も同様に皮膚や皮下織の炎症,過形成,腫瘍などがあります.この判定は針をさして細胞を取ってくる針生検や手術でしこりごと摘出して病理組織検査を行わないと確定診断はできません.今くるたんさんのネコちゃんに何か必要かは主治医の先生とよく相談して決めてあげてください.
ここでこのしこりが,乳腺癌かどうかが解りませんの仮に乳腺癌だとしたら…としてお書きしたいと思います.
「他の乳房にも転移?」
転移がどうかの厳密な判定は難しいですが,一般的に転移と言うと血流やリンパ管を伝わって元にあった乳腺のしこり(原発部位)から他の組織(肺など)にがん細胞が移動し,原発部位から離れた場所で細胞が増えてしまうことを言います.今回の場合には,ほぼ同時期に違った場所で乳腺のしこりが見つかっていますので『多発』と考えた方が良いかもしれません.しかしここで注意する事は,片方が乳腺ではなく,脇の下(腋窩)や内股(鼠径)のリンパ節に転移してしこりができることもありますので,かかりつけの先生に良くご相談ください.
「若いのに…」
猫の乳腺癌は一般的に老齢で見られ(中央値10-12歳)5歳未満の猫ではまれですが,2歳くらいの猫や20歳の猫にも報告はあります.
「避妊もしてあって、出産経験もあるのに…」
猫の乳腺腫瘍と避妊手術に関する研究で,避妊手術による乳腺腫瘍発生の予防効果は手術をした月齢と大いに関係があり,6ヵ月齢までに手術を行うと91%の予防効果がありますが,7-12ヶ月齢は86%,13-24ヶ月齢は11%,2歳以上では予防効果はないといっています.また,出産は乳腺腫瘍の予防効果があると言う報告はありません.
したがって出産をし1歳過ぎに行った避妊手術は,子宮や卵巣の病気の予防には成りますが乳腺腫瘍の予防にはなりづらいと考えた方が言いと思います.しかし2歳齢での乳腺癌はあまり多くありませんので,手術後にしっかり病理組織検査をしてあげた方がいいと思います.
「治療方法」はメインは手術による摘出術で,術式は<1>しこりだけを摘出する方法を<2>片側の乳腺をすべて摘出する方法,<3>左右両側に複数のしこりがある場合には<1>と<2>を組み合わせた方法もあります.犬の乳腺腫は良性と悪性野比が1:1なので<1>の方法も多くおかなわれていますが,猫の場合には良性と悪性が1:9ぐらいで悪性の可能性が高いため<2>や<3>が行われます.しかしくるたんさんの2歳のネコちゃんは,若いため乳腺腫瘍以外のことも考えられますの術式に関しては良く主治医の先生とご相談の上決めてあげてください.
乳腺癌だとしたら,「再発率」はとても高く,手術後の見通し(予後)は腫瘍の大きな二よって違うと言う報告があります.『中央生存期間』と言い研究対象の猫の半数がなくなった期間で比較した研究いくつかあります.研究によってだいぶ数字が誓いますので2つを例に挙げておきます.(a)腫瘍の大きさが2cm未満:3年,2-3cm:2年,3cmより大きい6ヵ月(MacEwenら1984),(b)腫瘍の大きさが3cm以下9年,3cmより大きい5年(Itoら1996).数字がだいぶ違うので評価が難しいですし,『中央生存期間』ですのでこの期間より早くなくなってしまった猫もいますしもっと長生きした猫もいます.
とても長くなってしまいましたが,まとめますと若いねこちゃんなので必ずしも乳腺癌だとは手術前に這いえませんが,避妊手術の時期がやや遅かったため乳腺腫瘍の予防にはなっていないかもしれません.乳腺癌だとしたら小さい内の羽目の手術が1番です.最良のケースと最悪のケースを考えて治療を選ぶ地右葉があります.そのためにもかかりつけの先生によく相談して治療方針をきめ,必ず病理組織検査を行ってあげてください.

投稿者 くるたん さん からの返答

とても分かりやすく、納得のいくご説明をありがとうございました。今ちょうど手術に入る時間で、ドキドキしてます、綺麗に取り除けることを期待して、病理検査でいい結果が出るように期待します。
ありがとうございました。

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