診断に矛盾点が…？これって正しい判断ですか？

質問カテゴリ：: 意識に障害がおこる / 頭、胸、腹を痛がる
対象ペット：: 犬 / シュナプー / 男の子 / 9歳 7ヵ月
質問者：: 北海道 / JACKさん（この方の過去の質問 28件）
: 2017/04/12 17:20

愛犬が僧帽弁閉鎖不全です。先日かかりつけの動物病院で心臓の状態を検査したところいままでよりも病状が進行しているようで約半分の血液が逆流しているようだとのことでした。

そこでいままでいただいていたACE阻害薬とは別に強心剤も飲ませるようにとの指示をいただきました。

質問は強心剤の必要性です。 ACE阻害薬は血液量を減らして結果的に血圧を下げるいわば「心臓に頑張らないようにするためのお薬」という説明をいただきました。

それに対し強心剤は「心臓にもっとしっかり血液を送り出すように促す薬である」と。

これってそもそも矛盾していないでしょうか？心臓を休める薬を飲んでいるのに頑張らせる薬を同時に飲むというのはむしろ体に悪いように思われるのですが、それぞれを同時に使う理由とその効果について教えていただければ大変助かります。

よろしくお願いいたします！！

井上平太先生からの回答

井上動物病院動物取扱業登録第５６-１０４号（埼玉県）

どちらの説明も飼い主の心理に働きかけるための詭弁ですので嘘ではないのですが正確に薬の作用を表現しているわけではございません。

ACE阻害薬はレニンアンギオテンシン系と言う血管を収縮させる一連の流れを阻害して血管を拡張させます。そのことにより全身の血管の直径が大きくなり、抵抗なく血液が心臓から流れ出るので結果的に血液逆流量が減ります。そのことにより心臓内の血液量が減って、心臓の拡張が二次的に治まるわけです。
つまり、心臓を休める薬と言うよりも楽に動かさせる薬という事になります。

通常はACE阻害薬の処方から始まりますが、症状の進行によりピモベンダンやジゴキシンやアミノフィリンやフロセミドやニトロールやステロイドの併用が必要になってきます。
これらはそれぞれ作用機序が異なりますが、心臓にもっとしっかり血液を送り出すように促す薬と言えなくもないでしょう。
併用を推奨された薬剤名が判りませんので、今回の処方薬の理由と効果はお答えできませんが、名称が判れば再度ご説明いたします。

お大事にしてください。

2017/04/13 00:56 参考になった！ 3

投稿者 JACK さんからの返答

早速回答の方本当にありがとうございます。

どのような仕組みで働くかの説明は詳しくお聞きできなかったので大変助かります！

強心剤の方の名称はベトナディンというものです。お忙しい中とは思いますがこちらに関してもご説明くださると助かります。よろしくお願いいたします。

2017/04/13 09:08

再び井上平太先生からの回答

おそらくベトメジンの聞き間違えだと思います。
主成分はピモベンダンです。
一般的には0.2から0.3mg/㎏を一日２回服用いたします。
心臓の筋肉の収縮力を改善する作用と血管を拡張させる作用があり、これにより心臓のうっ血を治療し肺水腫による呼吸困難を防ぎます。
この薬の登場により、僧房弁閉鎖不全でACE阻害薬だけでは肺水腫が防げなかったかなりの動物たちが、さらに延命できるようになりました。
しかし、当初は相当に肺水腫が進行してからこの薬を使用する事が多く、十分効果を発揮しないうちに呼吸困難で死亡する動物が多いのが実情でした。

最近は比較的早い段階でACE阻害薬にこのピモベンダンを併用する事が多くなり、延命期間がさらに平均４００日以上伸びたという報告もございます。

３０年前まだ私が駆け出しのころは僧房弁閉鎖不全で肺水腫を起こすと数か月の延命しかできないことが多く、とても辛い思いを致しました。
この二つの薬の併用と場合によってはジゴキシンやフロセミドの併用で、数年にわたり維持が出来るようになり、たくさんの動物がより長く飼い主様と楽しく生活を共にできるようになりました。
ただ、治療法が確立されるまでにたくさんの尊い命が失われてしまっていることを我々獣医師は忘れてはいけないと考えております。

2017/04/13 23:49